東京・四谷のTOTEM POLE PHOTO GALLERY(トーテムポールフォトギャラリー)で佐方晴登「壊死するフウケイ」が開催される。
下総の牧の広野の暁の、空をばいそぐいそぐ水鳥
─水野葉舟「滴歴」より
昭和の激動期に建設された、成田国際空港。政治的問題を抱えながらも、40年以上日本の玄関口としての役割を果たしてきた。
現在、成田空港では新しい滑走路の建設が進んでいる。約1000haの建設用地(現在の空港敷地は1198ha)が買収される事で、空港の南東に広がる古くからの里山や明治以来の開墾地が失われてしまうのだ。 私は典型的な里山風景という表象をこの地に求め、失われる農村を撮影しようと試みた。しかし時すでに遅く、過疎化により、集落としての共同体は崩壊しかけ、農地は荒廃していた。
聞くところによると、集落の殆どが空港拡張に賛成だと言う。 私は空港拡張に反対する立場ではないが、環境保護が叫ばれている昨今、更に自然に手を加え、大規模な人工物を建造するという事に関しては、一考の余地があるだろう。
この風景たちは現代の縮図であり、状況の一部なのだと思う。
展示では、新滑走路建設により失われる農村風景の写真を中心に、現場で録音されたフィールドレコーディング作品、映像作品の3点で構成される。
フィールドレコーディングは写真撮影にちなんで「フォノトグラフィー」とも呼ばれ、今回は風景写真の延長として制作した。
映像作品は、静止画では伝わり難い現地の動感を表現するために展示した。
この3点をサウンドインスタレーションとして構成する事で現地の雰囲気が一層伝わるよう工夫した。
出典
水野葉舟著 歌集「滴歴」草木屋出版部, 1940
のら社同人, 北井一夫他箸「壊死する風景―三里塚農民の生とことば」のら社, 1970
水野葉舟 ー 1883-1947 明治ー昭和時代の歌人、詩人、小説家。トルストイや高村光太郎の影響により、大正13年から三里塚駒井野で半農生活に入った。
のら社 ー 写真家北井一夫が主宰する出版社。北井一夫「三里塚」、木村伊兵衛「パリ」などを出版。
■展示情報
佐方晴登「壊死するフウケイ」
会期:2023年8月8日(火)~ 8月20日(日)
時間:12:00〜19:00
休廊日:月曜日
会場:TOTEM POLE PHOTO GALLERY
住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F
電話:03-3341-9341
■プロフィール
佐方晴登(さかた・はると)
2000年、京都府生まれ、愛知県育ち。2020年、名古屋ビジュアルアーツ写真学科作家専攻卒業。現在は東京都を中心に活動中。
・個展
2020年 Inuyama-佐方晴登写真展 / Studio coote gallery / 大阪府
2022年 Dead. But not dead. / Alt_Medium / 東京都
・グループ展|フォトフェスティバル
2019年 フォトふれ Next project exhibition / 東川町国際写真フェスティバル / 北海道東川町
【関連リンク】
https://tppg.jp/landscape-of-death/
出展者 | 佐方晴登 |
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会期 | 2023年8月8日(火)~ 8月20日(日) |
会場名 | TOTEM POLE PHOTO GALLERY |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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