立木義浩の『七つの真実にまさるひとつのきれいな嘘を』(アイ・イメージング・フラッグ)は、スナップ写真のもつさりげない格好良さに満ちている。
本作は7つの章から成り、6人の編者によって編まれたもので構成し、立木へのインタビューが掲載されている。編者は中嶋琉平、近田拓郎、飯塚ヒデミ、川田洋平、黒崎由衣、TEAM OBAKE、そしてデザインも担当している町口景だ。ちなみに川田はインタビューを担当し、他の参加者は写真を編んでいる。
写真家、編集者、書店経営者と様々だが、各々の視点の違いや選び方のセンスが異なり、興味深い。参加者全員が立木より年下であり、中には孫ぐらいに年の離れた人もいるが、誰もが立木の写真に惹かれ、共鳴しているのが感じられる。逆にいえば、立木の感性は年齢を超えて存在しているということであろう。もっとも写真に年齢は関係ないが、これだけのスナップを撮れるということは心身ともに反射神経が鋭いという証拠だ。
インタビューの中で「スナップショットをやるときはアマチュアです。でも、不意にプロの自分が現れる」と述べているのが印象であった。立木のように一流のプロでさえ、スナップのときはアマチュアになることを意識している。スナップがプロの領域では表現できないことを理解し、アマチュアでしか撮れない領域であることを自覚しているのが、プロたる由縁であろう。写真の技術に関しては熟知しているからこそ、アマチュアであることの大事さを理解している。
実際に写真を見れば一目瞭然だが、このアマチュアぶりは伊達でないことがわかるだろう。
- 立木義浩『七つの真実にまさるひとつのきれいな嘘を』
- 出版社:アイ・イメージング・フラッグ
- 発行:2023年
- サイズ:25.7×18.4cm
- ページ:126pp
- 仕様:新刊、初版、ソフトカバー、カバー付
- 価格:2,970円(税込)
【関連リンク】
https://bookobscura.com/items/647c08c8fc5660003789cd12
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。