top 本と展示展覧会ピックアップ東京都写真美術館で「TOPコレクション 何が見える?『覗き見る』まなざしの系譜」が開催

東京都写真美術館で「TOPコレクション 何が見える?『覗き見る』まなざしの系譜」が開催

2023/06/27

東京都写真美術館で「TOPコレクション 何が見える?『覗き見る』まなざしの系譜」が開催される。
 
本展では、東京都写真美術館が所蔵する、映像史・写真史に関わる豊富な作品と資料を中心に、「覗き見る」ことを可能にした装置と、それによって作り出されたイメージ、そして「覗き見る」ことからイマジネーションを広げた、作家たちの多様な表現を紹介する。
 
写真や映像を撮影する装置として発明されたカメラは、同時に覗き見る装置でもあるといえる。カメラの原型となったカメラ・オブスクラは、外界の景色を写し取るため、真っ暗な箱の一方の壁にピンホールを開けた装置で、その後ピンホールはレンズに代わり、箱は小型化され、携帯可能なサイズとなっていく。
 
このカメラ・オブスクラを反転させた構造を持ち、レンズ越しに絵を覗いて鑑賞する視覚装置がかつて存在した。それらはピープショーと総称され、様々な形態が考案され、興行としても成立していく。
 
覗き見る装置のヴァリエーションとしては、顕微鏡や望遠鏡に代表される光学機器や、ステレオスコープのような立体視のための器具、キネトスコープなどの動く絵を創り出す機械が挙げられる。こうした多種多様な装置の発明と流行により、まだ見ぬ新たなイメージの誕生が後押しされ、無数の表現が生み出されてきた。
 
覗き見る装置は、現代の私たちをとりまくメディア環境はもちろん、写真・映像で表現をおこなう際の形式的な前提をも形作ってきたと言える。現代にも受け継がれる、「覗き見る」まなざしの系譜を、写真美術館のコレクションから探求する。
 

  • 1 覗き見る愉しみ
    覗き見る視覚装置の最初期の例として、17世紀末にヨーロッパで考案されたピープショーがあった。ピープショーは、1つ以上の覗き穴を持ち、箱のように閉ざされた空間を覗き穴越しに見ると、中の絵が立体的に見える視覚装置で、室内で楽しむもののほか、見世物師による興行用のものも存在した。日本にも江戸時代に「覗き眼鏡」が伝わるが、レンズを嵌め込んだ穴から、何らかの仕掛け(からくり)がなされた箱の中を覗き見る「のぞきからくり」が江戸から明治、大正期において庶民の娯楽として親しまれていた。
     
    出品作品:カメラ・オブスクラ、ピープショー、眼鏡絵、覗き眼鏡、のぞきからくり
     
    2 観察する眼
    16世紀末から17世紀初頭に発明された顕微鏡と望遠鏡は、どちらも覗き見ることで人間の視覚を飛躍的に拡張させる機能をもった装置といえる。また、観察する対象を客観的にまなざすカメラの眼は、肉眼では捉えることのできない一瞬の動きを切り取ることを可能にする。本章では、今から170年以上前にミクロの世界をダゲレオタイプで撮影したウィリアム・ベンジャミン・カーペンター《ウニのとげの断面》や、連続写真の実験に没頭した写真家エドワード・マイブリッジが1878年に公表した《馬と人間》などを紹介する。
     
    出品作家:ウィリアム・ベンジャミン・カーペンター、ロール・アルバン=ギヨー、エドワード・マイブリッジ、エティエンヌ=ジュール・マレー、ハロルド・ユージン・エジャートン
     
    3 立体的に見る
    2枚の画または写真を、左右の目で別々に見ることによって立体感を得るステレオスコープ。最初の装置が1838年に発表された後、持ち運びが簡便な小型ビュワーが登場することで、ステレオスコープは大きな流行を生み、人々は写真に写された世界を現実さながらに立体的に見ることに熱中した。
     
    強い立体感と没入感をもたらすステレオビュワーは、その誕生から一世紀以上前に、同様に人々を夢中にさせた視覚装置、ピープショーと重なる。現代において、ヘッドマウンドディスプレイを装着しVRを体験する私たちの姿も、この歴史の連なりの中の一部となる。
     
    出品作品:ステレオスコープ(ビュワー)、ステレオカード
     
    4 動き出すイメージ
    現在の映画の原型といえる映像装置は、リュミエール兄弟により1895年に一般公開されたシネマトグラフとされているが、他にも19世紀には残像現象や錯覚を利用して、静止画像を動く絵へと変容させる多種多様な視覚装置が発明される。残像や錯覚といった現象を生み出すには、視野を限り視線を固定することが効果的であるため、フェナキスティスコープ(1832年)、ゾートロープ(1834年)、プラクシノスコープ(1877年)、そして発明家トーマス・エジソンが1891年に開発した撮影装置キネトグラフと映写機キネトスコープなど、覗き見る構造を利用した多くの装置が誕生した。
     
    出品作品:ゾートロープ、プラクシノスコープ、フェナキスティスコープ、キノーラ、キネトスコープ(フィルム制作:石川亮)
     
    5 「覗き見る」まなざしの先に
    外界の景色を写し出すカメラ・オブスクラは、写し取った像を定着させ、レンズ越しに覗き見るカメラへと発展した。カメラは覗き見る主体と対象を結び付け、親密な関係をもたらす一方、覗き見ることは、まなざしの不均衡を生む行為でもあり、愉しみの中にあやうさを孕む。一人一台スマートフォンを持ち、日々カメラを向け合い、気づかないうちに被写体となるような環境に置かれる私たち。日常にあふれる「覗き見る」まなざしと、どのように向き合い、受け止め、まなざし返し、世界を切り取るという行為を再構成することができるのか。の名の作家たちの探求から、「覗き見る」ことの可能性と、その先にあるまなざしのあり方を考える。
     
    出品作家:奈良原一高、オノデラユキ、出光真子、伊藤隆介


■展示情報
展示名:「TOPコレクション 何が見える?『覗き見る』まなざしの系譜」
会場:東京都写真美術館3F展示室
会期:2023年7月19日(水)~10月15日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円  
※( )は当館の映画鑑賞券ご提示者、各種カード会員割引料金。各種割引の併用はできない。※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)年間パスポートご提示者は無料。
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
 
【関連リンク】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4536.html

展覧会概要

出展者 東京都写真美術館
会期 2023年7月19日(水)~10月15日(日)
会場名 東京都写真美術館

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する