写真家の七咲友梨、編集者の山若マサヤによる写真随筆集『どこへも行けないとしても』が刊行された。
アメリカ、スリランカ、フランス、台湾、オーストラリア。世界5カ国を巡ったパンデミック以前の旅を思い返し、それぞれの視点で旅の魅力を描いたという。
以下、序文「東京 / 日本」からの引用。
数ヶ月後、彼とメルボルンで再開した時、僕はまさにフラヌール的なそぞろ歩きの旅をしていた。映画の仕事で5カ国を巡り、 主に真夜中と早朝の街を少人数のクルーとふらついていたのだ。 その映画で僕には監督補という役割が与えられていた。写真家の七咲友梨(みんなにナナと呼ばれている)はムービーとスチールの撮影をひとりでこなした。この本に収められているのは、僕たちが 2019 年に経験した、そんな5カ国を巡る旅の話だ。 ……ところで、僕はこの旅にひとつの方針を掲げた。それは、 目にする出来事に意味を付加しないこと。頭の中でこしらえた素敵なお話のために現実を利用することを禁止するのだ。街で繰り広げられるささやかなドラマの導火線を目にしながら、そこに想像力の火を着ける欲望に抗うのは、それなりに大変でもあった。ありのままの世界を信頼するには、現実は想像よりはるかに味わいに満ちているはずだと、何度も自分に言い聞かせる必要があった。結果的に僕のこの方針は、フラヌール的な旅を通して、頭の 中にいるもうひとりの自分に饒舌なおしゃべりを始めさせることになった。
どこへも行けないとしても
HOW CAN WE REACH FOR THE MOON?
著者 七咲友梨 = 写真 山若マサヤ=文
判型・仕様 A5 判・本文 128 ページ
【作者プロフィール】
七咲友梨(写真)
役者として活動後写真家に。演劇で培った手法を活かしポートレイトや旅の写真を中心に雑誌や広告などで活動。映画『場所はいつも旅先だった』では映像・写真撮影を担当。
山若マサヤ(文)
MOUTAKUSANDA!!! magazine 編集長。書籍や雑誌を作りながら、雑誌や書籍で旅にまつわる文章を執筆。映画『場所はいつも旅先だった』では監督補を務める。
【関連リンク】
https://store.moutakusanda.com/items/58858927
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