高知県出身の植物分類学者・牧野富太郎博士をモデルとしたNHK連続テレビ小説「らんまん」の放映を記念し、同郷の写真家・石元泰博が手掛けた2つのシリーズ、〈HANA〉と〈牧野富太郎記念館〉を紹介する。
〈HANA〉は、とあるきっかけから植物の不思議に魅了された石元が、1986年から翌年にかけて季節の花々を写真におさめたシリーズだ。一般的に見頃とされる開花時のみならず、ふっくらと生命力を湛えた蕾や花びらが萎れ枯れゆく姿をも追った本作では、自然が生み出したかたちのもつ美しさや力強さが、鋭い造形感覚によってとらえられている。「なぜ」を起点に、あくまで目の前の被写体と真剣に対峙することを選んだ写真家の姿勢は、植物図において、筆に描き手の意図を持たせない「筆意のない線」で描くことを重視したという牧野博士と、どこか通じるかもしれない。
いっぽうの〈牧野富太郎記念館〉は、高知市五台山の高知県立牧野植物園内に建つ、建築家・内藤廣設計による「牧野富太郎記念館」の竣工写真だ。植物の構造や牧野博士の精力的な研究活動からも着想を得たという有機的でダイナミックな形態が、石元の隙のない画面構成のうちに切り取られている。内藤は石元による撮影を「厳しい目線で自らの仕事の密度を測る機会」ととらえ、牧野富太郎記念館を含めて4つの代表作の撮影を依頼している。自作を撮影されることを通じて「建築家として石元さんに育ててもらった」と語る内藤と、親子ほど年の離れた石元の交流は、石元が没するまで続いた。
本展では石元の写真とともに、牧野博士、石元、内藤らの言葉も併せて紹介し、三者の思想や研究・創作の魅力に迫る。
- ■展示概要
- 「石元泰博・コレクション展 HANA/牧野富太郎記念館の建築」
- 会期:2023年4月15日(土) 〜8月20日(日)
・前期 4月15日(土)~6月18日(日)
・後期 6月20日(火)~8月20日(日)
・6月19日、6月26日〜7月7日は閉室
会場:高知県立美術館2階 石元泰博展示室- 住所:高知県高知市高須353-2
観覧料:一般370(290)円・大学生260(200円)・高校生以下無料
電話:088-866-8000
【関連リンク】
https://moak.jp/event/collection/hana_makino.html
出展者 | 石元泰博 |
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会期 | 2023年4月15日(土) 〜8月20日(日) |
会場名 | 高知県立美術館 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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