『new landscape』(私家版)は、荻野良樹、武田美穂、山口聡一郎が参加し、4月に三重県にあるギャラリー0369で行われる展示にあわせて発行された小冊子である。
荻野と武田は三重県、山口は岡山県を拠点に活動している。3人は山口が編集を務める写真誌『陰と陽』に参加しており、今回の展示は『陰と陽』の活動から派生したものであろう。
タイトルにあるように三者三様の風景が展開されている。荻野は白昼の時間を中心にして、住宅街や造成中の現場などを撮り、武田は夜を背景にしてうねる植物に近づきながら撮影している。そして山口は森の中に入り、人の手が入っていない荒々しい木や葉を撮り、段ボールのような紙にプリントし、一枚のイメージを分割して構成している。
風景とはいえ、どれもアプローチは異なり、見え方も違う。風景写真は一般に四季をテーマにしたものなど、見た目のわかりやすさと記号化されたイメージが連想されるが、3人の撮る風景はそれにあてはまらない。だからタイトルに「new」の文字を冠したのかもしれない。
風景とは何だろうか。ひとことで風景と言ったとき、そこに写るもの・見えるものは個々人で違うはずだ。風景という言葉が示すイメージの広がりと差異を、この小冊子が例示している。
- 山口聡一郎、武田美穂、荻野良樹『new landscape』
- 私家版・限定150部・A4(260×200mm)・28ページ
- 発行日:2023年2月12日
価格:1500円(税込)- デザイン:takeda miho (vision & design)
- 収録タイトル:
- 山口聡一郎「Heart of the forest」
武田美穂「Plants」
荻野良樹「可塑の山」- https://gallery0369.jp/exhibition/2023spring_landscape_photo2/
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