『VACUUM 08』

『VACUUM 08』（VACUUM PRESS刊）はこれまで刊行された一連のシリーズを踏襲して、全編ストリートスナップで構成されている。参加者は平野祐子、平野明、鈴木拓也、瀬頭順平、後藤渚、阿部淳、山田省吾、林軒朗、陳捷甄、越野亮介。
 
今回も目次はなく、作品の境目はページ左下にタイトルと作者名が記載されていることで、その判断がつく。だが、そんなことは些細なことでしかないと言わんばかりに、スナップの応酬が塊りのように見る者に迫ってくる。
 
作者が撮る時代や場所も統一性はない。唯一の共通項は街中のスナップ、という条件だけ。それでもなぜか、ひとつの書物として一定の水準とバランスを保っているから不思議だ。
 
ストリートスナップは写真というメディアでしか表現できない領域だ。もっとも写真らしい写真を提示し続けるという意味で、『VACUUM』シリーズは重要な仕事を果たしている。今回もスナップの醍醐味で溢れた1冊となっている。

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髙橋義隆