2022年12月1日(木)から12月25日(日)まで、鶴巻育子写真展「芝生のイルカ」をコミュニケーションギャラリーふげん社(東京・目黒)にて開催する。
鶴巻育子は1972年東京生まれの写真家で、国内外の日常を捉えたスナップ作品で知られている。写真作家として活動する傍ら、「Jam Photo Gallery」を主宰しアマチュア写真家への指導を行うなど幅広く活動している。
2020年のコロナ禍以後は国内のスナップを主軸とし、離人感をテーマにモノクロームで構成された『夢』(2021)や、その続編『幸せのアンチテーゼ』(2022)などを発表。被写体と独特の距離感を持ち、どこか現実から浮遊したような写真が特徴だ。
本展では、視覚障害者との関わりをきっかけに制作された新作・約20点を展示する。鶴巻は、かねてから感じていた、見ることへの疑いから、見えない人の世界に興味を持ち、2020年から視覚障害者の外出をサポートする「同行援護」という仕事に携わるようになった。そこで述べ100名以上の視覚障害者と関わり、言葉を交わす中で、彼ら独特の言語表現に着目した鶴巻は、その言葉を手がかりに写真を撮り始めた。
それは「ガラスは透明ではない」「月は穴ぼこ」「第六感はない」など、晴眼者の鶴巻にとって、彼らの情景描写は新鮮に写り、時にシュールで、時に詩的なものに感じたと言う。視覚障害者が、言葉や感触、聴覚、嗅覚、空気の流れなどによって、じわじわとイメージが形成されていく過程を体現すべく、本作品は、まず中判カメラで撮影したフィルムをデジタルカメラでデュープ(複製)するという2段階の工程を経て制作されている。
視覚障害者という他者の言葉を借りて、世界を覗き見る感覚は、自分が当たり前と思って見ていた世界の輪郭を拡張する試みでもある。
展覧会タイトルの「芝生のイルカ」は、とある視覚障害者の女性の幼少時代のエピソードから名付けられた。視覚に頼った“現実”に縛られないイメージは、自由で創造的です。言葉の断片から鶴巻の解釈によって再生成されたイメージから、視覚障害がある無しに関わらず、それぞれの人が捉える“現実”の違い、揺らぎ、不確かさ、そして、想像の翼を広げることの純粋な喜びを感じてほしい。
会期中の12月10 日(土)には、視覚障害者と写真にまつわるワークショップの運営に長年携わっている、インディペンデント・キュレーターの菅沼比呂志を招いて、ギャラリートークを開催する。
【展示概要】
日時:2022年12月1日(木)〜12月25日(日)
火〜金 12:00〜19:00
土・日 12:00〜18:00
休廊:月曜日
会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
住所:〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
【写真家プロフィール】
鶴巻 育子(つるまき・いくこ)
1972年東京生まれ。写真家、Jam Photo Gallery主宰。広告写真、カメラ雑誌の執筆の他、
写真講師など幅広く活動。個展・グループ展多数開催。
主な個展「Brighton-a little different」(2012年 オリンパスギャラリー東京・大阪)、3[サ
ン](2015年 表参道スパイラルガーデン)、The Bus(2018年 PICTORICO GALLERY表
参道・PLACE M)幸せのアンチテーゼ(2022年 Jam Photo Gallery)など。
主なグループ展に 「アルファロメオ企画展 La meccanica della emozioni」(2017年 寺
田倉庫 with 田村翔)、Stories Everywhere (2016年 キヤノンギャラリー銀座 with 横
木安良夫)など。
主な出版物にTHE BUS(2018年 自費出版)、PERFECT DAY(2020年冬青社)、幸せの
アンチテーゼ(2022年Jam Photo Gallery Books)など。
【関連リンク】
https://fugensha.jp/events/221201tsurumaki/
出展者 | 鶴巻育子 |
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会期 | 2022年12月1日(木)〜12月25日(日) |
会場名 | コミュニケーションギャラリーふげん社 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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