
《Solaris Lux#38 遠くの島と No.1》803×1000mm,Gelatin silver print, synthetic urushi, gold brass powder,Unique,2025
岐阜県を拠点に活動する作家・小山ひときの新作個展 「往還する光 - Möbius Passage -」が、東京日本橋のアートギャラリーJINEN GALLERY にて開催される。本展では、新作・旧作を含めたおよそ25点を展示販売する。
「記憶」と「唯⼀性」をテーマに制作を続ける小山は、2022年から独学で暗室での制作を開始。手作業のオルタナティブ写真技法を軸に、生命の痕跡や世界のかたちを可視化することを試みている。
インクや絵の具を用いず、主に印画紙に物をおいて感光させる技法(フォトグラム)により再現不可能な唯一の作品を制作している。作品の一部は、太陽光で印画紙を直接焼き焦がし定着させる独自のアナログプロセスによって制作され、光そのものを多層的に記録している。
小山ひとき
- ■ステートメント
- 「記憶」と「唯⼀性」を主題に、暗室で光と化学変化を用いた作品を制作。手作業によるオルタナティブ写真技法を軸に、生命の痕跡や世界のかたちを可視化することを試みている。
- 人の記憶はレイヤー構造だと思う。今、この瞬間も過去の出来事が層のように積み重なり、記憶となって唯一無二の私たちを形作っていく。制作では主にフォトグラムという技法を用いて、自分の記憶と光を重ね合わせる。そのとき、私の記憶と物質そのものの記憶が響き合い、時間や生物の種類を超えた、細胞の拡大図や宇宙のような姿が浮かび上がる。
- 幼いころ、いつもそばにいてくれたのは父方の祖母で、私は完全なおばあちゃん子だった。2024年に100歳で大往生した祖母はいろいろなことを教えてくれた。
- 「お米の中には神様が宿っとる。1粒も残さずにたべなあかん。」
- 「もち米には7人神様がおる。」
- 「ものにはみんな魂がある。大事にしな。」
- 葬儀のときに知ったのだが、実家は禅宗であった。仏教には「空(くう)」という思想がある。それは自分自身を含むすべてが、境界なく溶け込んでいるという考え方だと私は思う。不思議と寂しさはなく“わかる”気がした。暗室で感じる感覚にも似たようなものがある。
- 生きるあなたも、死にゆく私も、同じ命の循環の中にあると知るとき、耐え難い悲しみさえも解き放たれていくように感じられる。暗室で生まれるイメージは、偶然と必然が織りなす生命の痕跡だ。それは「生きていていい」という安らぎを静かに伝えてくれる。誰かの“生”が否定されることのないように、私は光によってその姿を残し続けたい。
■展示情報
小山ひとき「往還する光 - Möbius Passage -」
会期:2026年1月20日(火)〜2月1日(日)
時間:13:00〜19:00 (金曜日は20:00まで、最終日は16:00まで)
会期中無休・入場無料
※作家在廊日 1月30日(金)1月31日(土)2月1日(日)
会場:JINEN GALLERY (東京都中央区日本橋堀留町1-8-9 渡菊ビル新館6階)
アクセス:東京メトロ日比谷線「人形町駅」より徒歩3分、「小伝馬町駅」より徒歩6分
https://maps.app.goo.gl/mP4rQWmrUQipZgqm9
■プロフィール
小山ひとき(こやま・ひとき)
1981年 岐阜県生まれ
2013年 フィルム写真を撮りはじめる
2022年 暗室で制作開始
| 出展者 | 小山ひとき |
|---|---|
| 会期 | 2026年1月20日(火)〜2月1日(日) |
| 会場名 | JINEN GALLERY |
| 会場の住所 | 〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町1-8-9 渡菊ビル新館6F |
| URL | https://jinen-gallery.com/?p=21781 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。


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