©西野嘉憲
ソニーイメージングギャラリー銀座にて、西野嘉憲 作品展「島に根を張る 石垣島上由台灣人墾殖的村莊」が開催される。
- 戦前の沖縄県石垣島では、日本領であった台湾から1000人規模の移住がありました。逆に日本からは沖縄県出身者を含む2万人以上が台湾へ住まいを移していました。しかし、その往来は1945年の日本の敗戦によって途絶します。石垣島に残った台湾出身者はその時点から「外国人」として扱われ、逆境のなかの生活がはじまります。彼らは移住初期におきた島人との争乱や、戦後しばらくまで続いた差別などに歯を食いしばりました。
この作品展でご覧いただく写真は、台湾人入植者が戦後、石垣島に築いた集落の日常です。
彼らは島人が見向きもしなかったジャングルに分け入り、荒土に鍬を立て、台湾から移入したパイナップルの栽培と加工によって人生を切り拓きました。苦心の末に島人と融和し、日本国籍を取得したのは1964年から1970年代のこと。
石垣島の中心に今、あたり前のようにあるこの集落の農村風景は、半世紀をかけて築き上げたものです。台湾人が拓いた嵩田集落は、その後、周辺の離島や沖縄本島、日本本土からの移住者が加わり、島随一の農業地域として発展を遂げています。
戦後80年。先の戦時下で国境にさらされた地域の混乱や、国籍に絡む民族的な悲劇は、いまも日本社会の重い課題として多くが残されたままとなっています。
しかし、嵩田集落の台湾系住民は「華僑共同体から自立しつつ、農業者として地域社会と完全に融和し、発展を遂げた稀有な存在」であると、集落を訪れた研究者は言います。
開拓者の汗と涙がにじむ過去を、彼らは簡単には口にしません。私はその誇りに胸を衝かれ、シャッターを切ります。
- ■展覧会情報
- 西野嘉憲 作品展「島に根を張る 石垣島上由台灣人墾殖的村莊」
- 会期:2025年8月8日(金)~8月21日(木)
- 時間:11:00〜19:00
- 会場:ソニーイメージングギャラリー銀座
■プロフィール
西野嘉憲(にしの・よしのり)
1969年大阪府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。広告制作会社勤務を経て、2005年より沖縄県石垣島に住まいを移し、フリーランスのカメラマンとして活動する。 漁業、狩猟など、人と自然の関わりを主な写真のテーマとする。また海人を題材としたテレビ番組の水中ビデオ撮影を数多く手がける。
日本写真家協会会員。
出展者 | 西野嘉憲 |
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会期 | 2025年8月8日(金)~8月21日(木) |
会場名 | ソニーイメージングギャラリー銀座 |
会場の住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階 |
URL | https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/#schedule |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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