YUGEN Galleryでは2025年6月7日(土)〜6月23日(月)の期間、写真家・蓮井幹生の個展「十七の海の肖像」を開催する。蓮井が2023年から25年にかけて、日本国内の17の原子力発電所の前に広がる海の景色を撮影した写真作品を紹介する。
《北海道古宇郡泊村》
蓮井幹生は、コマーシャルフォトグラファーとして、これまで著名人ポートレートやファッション、ドキュメンタリーなど多彩な分野で活躍。国内外で高く評価されている日本を代表する写真家の一人だ。また1990年代からはパノラマカメラによる《PEACE LAND》、霧に覆われる阿蘇山を捉えた《HIDDEN LANDSCAPE》といったアート作品を数多く発表しており、それらの作品はフランス国立図書館などに収蔵されている。
本展では、約一年半かけて日本各地の原発周辺を訪れ、人の痕跡を排した“無人の海”を捉えた海景作品《十七の海の肖像》全17点を初公開。フィルム写真から人や構造物を画像処理で取り除き、目に見えない“現代のリスク”と向き合う挑戦的な作品群だ。
《鹿児島県薩摩川内市》
- “見えない”写真。無限の“見えなさ”
海に臨む原発は画面外に置かれ、写真には映りません。説明がなければどこの海かもわからない。作品はフィルムで撮影したものをスキャンし、海を航行する船舶やテトラポット、サーファーといった人間の気配全てを画像処理によって消失。こうした作為性に「果たして写真といえるのか」と葛藤はあったというものの、ストレート・フォトグラフィを標榜する蓮井にとって“見えない”写真は画期といえる作品となり、注目です。- 「どんなに時代が進んでも、いつだって海は美しい。水平線は地球本来の姿だという考えもあるけれど、海はすでに目に見えないリスクをはらみ、一線を越えてしまったと感じる。(リスクを)生み出しているのは人間であり、それに苦しめられるのも人間。だから、写真としてのあるべき姿を壊してでも、実際そこにはない架空の海を表現してみたいと思った」
- 福島第一原子力発電所からの処理水の放出作業は今後30年ほど続き、核廃棄という途方もない課題が人類に突きつけられています。一方、蓮井は撮影をする中で原発が地元の生活に根差していることも知ります。ひと筋縄ではいかない世界の“見えなさ”が“見えない”写真に映る。海のように無限に。
会期中には、作家本人によるギャラリートーク(全5回予定)も開催予定。
《青森県下北郡東通村》
- ■展示概要
- 蓮井幹生 個展「十七の海の肖像」
- 会期:2025年6月7日(土)〜6月23日(月)
- 時間:13:00〜19:00(土日祝は20:00まで/最終日は17:00まで)
休館日:なし- 会場:YUGEN Gallery
- 住所:東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル4F
■レセプション日程
6月8日(日)、14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)
■プロフィール
蓮井幹生(Mikio Hasui)
写真家。1955年東京都出身。アマチュア写真家の父親の影響で幼少の頃から写真を始める。明治学院大学社会学部社会学科を中退後、アートディレクター・守谷猛に師事。アートディレクターとして広告やレコードジャケットを多く手がける。30歳の頃より写真を独学し、1988年の個展開催をきっかけに写真家となる。新潮社の雑誌『03』はじめ著名人のポートレイト作品で注目を集め、ファッション、ドキュメンタリーと幅広い分野の撮影を手がける。2000年頃からはムービー撮影も行い、PVやCMの作品多数。作品はフランス国立図書館、東京工芸大学写大ギャラリーに収蔵されている。
出展者 | 蓮井幹生 |
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会期 | 2025年6月7日(土)〜6月23日(月) |
会場名 | YUGEN Gallery |
会場の住所 | 〒107-0062 東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル4F |
URL | https://yugen-gallery.com/blogs/exhibitions/mikiohasui-seventeenportraitsofthesea |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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