©Meisai Okamoto
kanzan galleryでは、19年にわたりピンホールカメラで作品を制作してきた岡本明才(おかもと・めいさい)の個展「ピンホールカメラ・エクステンデッド」を開催する。
岡本明才(1971年生まれ、高知市在住)とピンホールカメラとの出会いは、2006年に遡る。岡本は、その数年前から高知市のユニークなアートシーンと接点を持ち、自己流で写真作品の制作を行っていた。あるコンペに参加するために複数の時間を1枚の写真に表現しようとしたところうまくいかず、Googleで検索を繰り返すうちに「ピンホールカメラ」の存在を知る。密閉された箱状のものに穴を開けるだけでカメラになる――半信半疑で、軽トラックの荷台に幅・高さ約190cmの巨大なピンホールカメラを作り、その内部に42枚の印画紙を貼り付け、時間をずらしながら撮影を行い希望通りの作品を制作することに成功。以降は、部屋や段ボールをカメラにする試み、5m四方の超巨大カメラや自転車に付属した移動式カメラでの制作、そして、現在は建物の既存の開口部を利用した撮影に挑戦している。
- 「私の制作は『写す』ことから始まるのではなく、装置を作ること、つまり『写る仕組み』そのものを構築する行為から始まる」と岡本は言います。それは、「高知の九龍城」とも呼ばれる日本屈指のセルフビルドマンションであり、さらに住民たちが暮らしながら改造していくことで変化し続ける沢田マンションで暮らした経験を礎石とし、「思いついたらまず手を動かしてみる」という徹底した実践主義に貫かれています。
一方で、岡本の関心は、優れた装置や仕組みを開発することではなく、カメラを「光の現象を観察し、再構成するための実験装置」としてとらえ、その現象を可視化、つまり写真にすることで「『見えるとは何か』『写るとは何か』」を問い直すことにあります。
作品に、ピンホールカメラの「穴」を含めていることも風景を写す構造を可視化するためであり、写す(撮影者)・写される(被写体)関係性にも示唆を与える。また、岡本にとって、ピンホールカメラでの制作は古典技法への憧憬や回帰とは無縁であり、デジタルカメラを積極的に利用し、双方の特性を活かしていることも特徴のひとつといえる。
シンプルな構造を多様な方向にエクステンド(拡張)させ、「見えること」「写ること」への問いかけを続ける岡本明才の軌跡を辿る展覧会。
■展示概要
岡本明才「Pinhole Camera Extended」
会期:2025年6月7日(土)〜7月13日(日)
時間:12:00〜19:30
休廊日:月曜日
会場:kanzan gallery
出展者 | 岡本明才 |
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会期 | 2025年6月7日(土)〜7月13日(日) |
会場名 | kanzan gallery |
会場の住所 | 〒101-0031 東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル 2F |
URL | http://www.kanzan-g.jp/exhibitions/meisai-okamoto-2025/ |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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