Yoko Fukuoka
2024年制作のサイアノタイプおよびインクジェットプリントによるコラージュ作品 計17点を展示
開廊時間:12:00〜19:00
※金曜日20:00迄
※最終日16:00迄
ギャラリーHP
https://jinen-gallery.com/
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ステイトメント
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I had never heard (きいたことのない)は作品制作に使った本のページにたまたま印刷されていた言葉だ。
おととしからサリンジャーの短編集「ナインストーリーズ」の本のページそのものにサイアノタイプで画像をプリントする、という作品を作っている。ページに印刷されていた文字はサンドペーパーで削って、その上に自分の母の少女の頃の写真から作った画像を上書きした。生前は出会わなかったもの同士が私の記憶を通してつながっているような作品だ。(詳しくは昨年の個展「パリンプセスト」をご参照ください!)。
それらの作品を作る過程で、何度か削る前のページの写真を取っておいた。そのうちのひとつから抜き出されたのが I had never heard というフレーズである。
写真という複製可能なアートに関わっているせいか、ずっとvariantという概念が気にかかっていた。私がこの言葉を知ったのは古本屋での仕事中のことだ。稀覯本では、同じ版にもかかわらず装丁や背表紙の文字の位置が微妙に違う本が存在することがあり、そういったものをヴァリアント=バリエーションとして区別する。本来は同じように複製されたはずのものに意図しない違いが生まれる。そこに運命の不思議さを感じた。
思えば、我々はなにか、誰か、あるいは過去の自分のvariantとして今、存在している。一大決心ではない、無自覚な選択が現在をつくっている。「きいたことのない」のは過去に置いてきた可能性であり、以前は思いもよらなかった現在のことでもある。
展示は I had never heard の文字が印刷されていた本のページにプリントされた少女の姿から始まるイメージの連鎖となる。手の届かなかった思いは鳥になり、空へ昇る/下降する感覚は階段となり、段の連なりは記憶術を思わせ(ちなみに「記憶術」は以前開催した個展のタイトルでもある)、記憶を物質化したものとして本が現れる…といったように。
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出展者 | 福岡陽子 |
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会期 | 2025年2月11日(火)〜2月16日(日) |
会場名 | JINEN GALLERY 【B室】 |
会場の住所 | 〒1030012 東京都中央区日本橋堀留町町 1-8-9 渡菊ビル新館6階 |
URL | https://jinen-gallery.com/?p=18874 |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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