大シコック展vol2024(第1回)
僕たちはいま、四国を旅し、撮影を続けている。日本中のさまざまな場所を巡り、取材や撮影をするという日々を送る中、なぜか四国で多くの時間を過ごすことになっていき、やがてその延長線上でSNS「シコック」が作られ、多いときは月の半分以上、少ないときでも月のうち数日は四国を訪れている。その最初の集大成が今回の写真展「大シコック展vol2024(第1回)」だ。
四国で大きな仕事に携わることになったとか、四国の風景や風習などに強く魅了されたとか、そういう大それたことがあったわけではなく、気が付くと四国というフィールドで撮影を楽しむ日々がライフワークへとなっていった。縁がなければなかなか行きづらい四国という場所に、冒険心から惹かれていったのか。気候や食があっていたのか。それはわからない。しかし、自然と日課となっていった。
撮影のときは、あてもなく琴平を出発する。本当に目的地を決めないことがほとんどで、景勝地や観光地に行くこともほぼない。行く県くらいは決めることはあるけれど、車を気ままに走らせたり、港の船に飛び乗ったりして、その先で心が動くままにシャッターを切っている。実際にあてのない旅をしてみるとわかるのだが、もちろん美しいなと感じた景色には感動をして撮影するものの、個人的には一定以上の思い出にはならない。いくら美しい景色を見ても、旅の最中に誰とも会話していないことに気付くと、逆に空虚さが強く残ることすらある。
では、あてのない旅で何が記憶に残るか。やはり、「人」だ。旅先で交わした会話、その土地の人の営みに触れると、延々と記憶に残るし、写真を見返したときに鮮明に撮影した状況を思い出す。自分のレールとは全く異なるレールの上を生きる人々の話はおもしろいし、多くの学びがある。会話をした前と後ででは、目の前に拡がる景色が持つ意味すら変わるし、自分自身への深い問いかけが生まれることもある。それが目的ならば、なにも四国でなくてもよかったのではないか。そうかもしれないし、そうではないかもしれない。空気感が好き、というのはそういうことじゃないだろうか。
「大シコック展vol2024(第1回)」の写真は、良くも悪くも素朴でストレートだと思う。しかし、うっすらとした四国の素晴らしさ、人生模様、好奇心や冒険心を持ち行動から何かを学んでいく大切さがちょっとだけでも滲み出ていると良いなと思っている。この写真展は、大人になってから再び少年時代のような好奇心に素直に従い冒険をはじめた僕らの軌跡である。
出展者 | シコック |
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会期 | 2024年1/1(月)〜1月8日(月) |
会場名 | 琴平文具店前 |
会場の住所 | 〒766-0002 香川県仲多度郡琴平町琴平町183番地 |
URL | https://www.instagram.com/p/C1SS7pNP2Im/?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=MzRlODBiNWFlZA== |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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