【ステートメント】
かつては暴動が絶えず、激しい街だった西成は新たな時代へと向かっている。
インバウンド需要やリゾート化、再開発によりドヤ街は綺麗に整備されつつある。
それによりここで暮らす労働者や貧困層は今でさえ行き場を奪われている上に、観光地として認知されれば安宿もなくなり野宿もできなくなる可能性がある。
私は学生の頃に初めてこの地を訪れ、ぼろぼろになりながらも生きていくたくましい姿、弱さや優しさ、不器用さが滲み出た人間臭さに強く惹かれた。
そして何度も通った。
生きるということを彼らから学んだ気がした。

皆それぞれの人生を背負い、ここへ流れ着く。
新参者もひと月もすれば肌は黒くなり薄汚れ、次第に佇まいも街に同化していく。
そこら中に生活の残骸が散らばり、混ざり合う様々な匂い。
時折聞こえてくる怒号や酒を囲んだ大勢の陽気な声。
彼らの存在が独特なこの街の雰囲気を成り立たせていた。
街が彼らを染めてゆき、彼らがまた街を形成する。
何十年と続いた相互関係が完全に切り離された時、両者はどうなってしまうのだろう。

労働者は減り、静かで平凡な日々が続いている。
退屈とも言える転換期だが、そこにも様々な生活や息遣いがある。
いずれ消えてしまうかもしれない今の姿を、この隙間の時代を私は保存したいと思った。

【展示について】
インクジェットプリント、カラー、43点、額装

【プロフィール】
大阪府在住。
独学で写真を学び、2019年2月よりgallery 176所属。

個展
2008年 「sublimate」 galleria-punto
2019年 「月讀」gallery 176
2019年 「異種交配」gallery 176
2020年 「Accelerator」スタジオ35分
2020年 「RESIDUES」gallery 176
2021年 「Aerial」gallery176
2022年 「Yamatogawa Riv.」Fujifilm Imaging Plaza 大阪

グループ展
2009年 「同時代展」 同時代ギャラリー
2019年 「よしとみフォトフェスティバル」 吉富ノ庄
「gallery 176 写真家6人|それぞれの視点、それぞれの世界」1839當代藝廊
2022年「浪花 北摂 写真散歩」豊中市立市民ギャラリー

webサイト
http://masakobando.com/

Instagram
@henteko_masako

展覧会概要

出展者 坂東 正沙子
会期 2022年4月19日(火)〜4月30日(土)※日曜休館
会場名 ニコンサロン
会場の住所 〒1631528
東京都新宿区西新宿新宿エルタワー28階
URL https://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/2022/20220419_ns.html

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

 
 

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