左からFlorian Ebner (ポンピドゥーセンター キュレーター)、Roxana Marcoci (MoMAキュレーター)、Martin Barnes(V&Aキュレーター)
日本最大級の都市型アートフェスティバルをもつプラットフォーム「T3(ティースリー)」では、会期中に国際的なキュレーター10名を始め、国内外のアートワールドで活躍する方々によるトークイベントを開催することが決定した。
海外からも大きな注目を浴びるT3プロジェクトの中で、その意義に賛同する彼らに、日本やアジアの写真に対するまなざしなどを語っていただく豪華なトークとなる。
■「ヴォルフガング・ティルマンス展」キュレーター、フロリアン・エブナーが語ることとは
ポンピドゥーセンターのリノベーション前、最後の大規模展として大きな成果を収めた「ヴォルフガング・ティルマンス展」。同展がどのように位置づけられ、どのような意味を持ったのか。また、これまで「写真」を現代美術の重要な柱として扱ってきたポンピドゥー・センターが、今後どのような文脈で「写真」を展開していこうとしているのか。日本やアジアの写真に対する関心や、今後の展望と合わせて語る。
<フロリアン・エブナーからのメッセージ>
おそらく「庭」こそがふさわしい場所であり、適切なメタファーであり、そしてもはや正当性を失ったあらゆるイデオロギーを超えて、私たちに残された唯一のユートピアなのかもしれません。都市空間は、庭が象徴する「守られ、構築された空間」という考えとどのように結びつくのでしょうか。そして写真はいかにしてその考えを翻訳できるのでしょうか。
そうした理由から、私は今回のT3に大いに関心を抱いています。特にアジアの現代写真、そしてフェスティバルの一環として開催されるブックフェア「T3 Photobook Marche」に強い興味を持っています。写真にとって本は今なお最も重要なメディアのひとつであり、その表紙に包まれた世界は、庭のように囲われ、耕された空間を体現しています。本はまた、現在パリのポンピドゥーセンターで会期を終えつつあるヴォルフガング・ティルマンスの大規模な展覧会においても重要な役割を果たしました。T3では、同展についてもトークにてお話する予定です。
フロリアン・エブナー プロフィール
1970年、独・レーゲンスブルク生まれ。1990年代に仏・アルルで写真、独ルール大学ボーフム校で美術史を学び、2000年から2006年までライプツィヒ視覚芸術アカデミー(HGB)で芸術助手として教鞭を執った。ベルリニッシェ・ガレリー、ブラウンシュヴァイク写真美術館での勤務を経て、2012年から2017年まで独・エッセンのフォルクヴァング美術館で写真コレクションのキュレーターを務め、現在はポンピドゥーセンターの写真部門責任者。
会期中は3会場で様々なトークセッションを予定している。
- ■T3 Talk Program
海外からも大きな注目を浴びるT3プロジェクトの中で、その意義に賛同する国内外のアートワールドで活躍する方々に、日本やアジアの写真に対するまなざしなどを語る豪華なトークセッションを行う。
日時:2025年10月11日(土)〜10月13日(月祝)
会場:東京ミッドタウン八重洲 5F STUDIO
入場:有料(オンライン配信あり)/https://t3talkprogram.peatix.com
*ArtStickerでT3 PHOTO ASIAのチケットをご購入いただいた方は訪れた日のトークが無料となる
▼10月11日(土)
・11:00~12:00|ポンピドゥセンター・ティルマンス展キュレーターが向ける「写真と日本・アジア」へのまなざし/ゲスト|Florian Ebner(ポンピドゥーセンター キュレーター)
・13:30~14:30|MoMAが考える「現代写真」の最前線/ゲスト|Roxana Marcoci (MoMAキュレーター)
▼10月12日(日)
・11:00~12:00|ヴィクトリア&アルバート博物館にとって「なぜ写真はこれまでも、これからも重要なメディアなのか?」/ゲスト|Martin Barnes(V&Aキュレーター)
・13:30~14:30|METにおける写真コレクション―多様性・グローバルな視点・他ジャンルとの対話(仮)/ゲスト|Lisa Sutcliffe(メトロポリタン美術館写真部門キュレーター)
・15:00~16:30|New Talent展連動:Public Review on Five Views/ゲスト|Lesley Martin(Printted Mater エグゼクティブ・ディレクター)、Diane Dufour(LE BAL創立者、共同ディレクター)、Thyago Nogueira(IMS現代写真部門総括ディレクター)/ファシリテーター|池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)
・17:00~18:30|未来の刻印ー日本と韓国の女性写真家たちが切り拓く新しい視点 Presented by AWARE/ゲスト|石内都(写真家)、 Kim Honghee(美術史家)/ファシリテーター|天田万里奈(AWARE日本代表、インディペンデント・キュレーター)、 Nina Volz(AWARE国際プログラム責任者)
▼10月13日(月祝)
・11:00~12:00|STUDIO+|拡張する現代写真展連動:中川ももとトウ・セイヨ作品にみる、変容する現代写真の価値生成 ― 「ポスト・フォトグラフィ」の現在地/ゲスト|中川もも(アーティスト)、トウ・セイヨ(アーティスト)、ファシリテーター:北桂樹(現代写真研究者)
・13:30~14:30|T3 PHOTO ASIA連動:Taiwan Focus(仮)/ゲスト|Sharleen Yu(台北市立美術館 シニアキュレーター)、Chung-Hsuan LAN(作家、キュレーター、Each Modernフェアディレクター)
■OPENING SPECIAL TALK
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOメイン企画展「City as Garden」と連動し、参加作家2名によるトークショーを行う。
日時:2025年10月4日(土)、10月5日(日)10:30~12:00
ゲスト:メリッサ・シュリーク(4日)、スティーブン・ギル(5日)
会場:東京都写真美術館 1Fホール
入場:無料(要申込)
■PHOTOBOOK MARCHE TALK
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOのイベントとして行われる「T3 PHOTOBOOK MARCHE 2025」は、写真集を中心として展開されるブックフェア。約60もの出版社から個人作家、学生まで、多彩な出展者が一堂に会し、写真に関わるすべての人々がマルシェのように交わりながら、それぞれの作品を直接紹介、販売する。この企画連動でトークセッションを行う。
日時:2025年10月4日(土)、10月5日(日)11:00~17:00
会場A:東京スクエアガーデン 1F 貫通通路
会場B:シティラボ東京(東京スクエアガーデン6F)
入場:無料(予約不要)
【関連リンク】
https://t3photo.tokyo
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