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写真を通してヨーロッパの揺れる今を見つめる、日本初「SEEEU ヨーロッパ写真月間 2025」2025年秋に東京で開催決定

2025/07/27

KOI NIPPON/KOIは、公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】および欧州連合(EU)の支援を受け、2025年10月23日(木)から11月23日(日)まで、東京都内各所の公共空間にて、「SEEEU(シー・イー・ユー)ヨーロッパ写真月間 2025」を初めて開催する。ヨーロッパの今を捉える写真家約10名による200点以上の作品を展示する。
 

  • ■「SEEEU(シー・イー・ユー)ヨーロッパ写真月間 2025」とは
    本写真祭は、2025年秋に東京で開催する、日本初のヨーロッパ写真月間である。年に一度、約1ヶ月にわたり、ヨーロッパの今を捉える写真家による作品が、東京の公共空間で展示される。また、毎年テーマを設け、写真を通してヨーロッパで今起きている出来事を見つめ、共に考える機会を創出する。ヨーロッパのアートを発信するプラットフォームであると同時に、ヨーロッパと日本の間に新たな交流を生み出し、国や文化、言語の枠を越えて、共に世界と向き合う対話の場を築いていく。
     
    ■今年のテーマは「Reframing Realities:現実の新たな輪郭」
    「Reframing Realities:現実の新たな輪郭」は、現代のヨーロッパをかたちづくり、そして再解釈しようとする、多様な視点を捉え直す試みだ。テーマの背景にあるのは、活気に満ちたコミュニティや、メディアに囲まれた日常、そして変化し続けるアイデンティティ。そんな中、客観的・個人的・環境的・美的など様々な枠組みで捉える「現実」は、絶えず生まれ、消え、そしてまた描き直されている。
    武力衝突、移民の流入、気候危機などに直面するヨーロッパにおいて、写真家たちは「記録」と「創造」のあいだを行き来するような表現に挑んでいる。
    自己演出、知らぬ間に施された加工、合成された美、そして失われていく生物多様性。
    そんな世界を生きる私たちに、現実について「その輪郭はどこにあるのか?」「誰の手によって描き直されるのか?」という問いを投げかける。

 
■フェスティバル・プロデューサー セルゲイ・グリゴリエフ氏


リトアニア出身。ビジュアル・ストーリーテリング、テクノロジー、パブリック・イベントといった多様な領域を横断して活動するクリエイティブ・プロデューサー。アートテックと文化事業制作に特化したスタジオ「KOI」の創設者であり、代表を務める。
これまでに30以上の文化プロジェクトを、リトアニアにおける最大規模の日本文化フェスティバル、VR作品の制作、展覧会、大規模なパブリック・インスタレーションなど多岐にわたって企画・制作する。
これまで手掛けてきた企画に、インタラクティブなデジタル絵本「Noble Rogues」、写真展「Human Baltic 〜我らバルトに生きて〜」(2024年、青山スパイラル)、東京で毎年開催されている文化プラットフォーム「Creative Lithuania」などがある。

 

【開催に向けたメッセージ】
ヨーロッパの写真作品、特に現代的な表現は、日本でまだ広く知られているとは言えません。そうした現状を背景に、「SEEEU(シー・イー・ユー)」はヨーロッパの多様な写真表現を東京の都市空間に届けることを目指しています。
今回の展示は、美術館やギャラリーといった既存の枠組みにとらわれることなく、街中の公共空間を舞台に行われます。観客が街を歩くなかで偶然作品に出会い、日常とアートが交差する瞬間が生み出されます。一方で、日本の写真コミュニティーでも、ヨーロッパとの新たなつながりを求める声が高まっています。「SEEEU(シー・イー・ユー)」は、そうした声に応えるかたちで、長らく求められてきた、国や地域を超えた創造的な出会いと対話を生み出す場を育てていきます。

 

■フェスティバル・キュレーター 太田睦子氏


1968年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、サントリー広報部、『マリ・クレール』編集部を経て、『エスクァイア』『GQ』などでアート、写真、文学、旅、ライフスタイルなどを担当。
その後、フリーランス編集者として、雑誌や単行本の編集、アートプロジェクト、美術館のカタログ制作などに携わる。
2012年にアート写真雑誌『IMA』を創刊。エディトリアルディレクターとして、雑誌・ウェブサイトIMA online・写真集「IMA Photobooks」レーベルでの写真集刊行の他、浅間国際フォトフェスティバルの展示ディレクション、写真賞の審査員などアート写真を軸に活動している。

 

【開催に向けたメッセージ】
現代の写真表現は、単なる視覚的な記録やイメージにとどまらず、私たちが現実の社会や過去の歴史、そして自身のアイデンティティをどのように見つめ、どのように語ろうとするのかを問いかけるものです。ヨーロッパの写真家たちが向き合うこの問いは、遠い世界だけのものではなく、私たち自身の問いとも交差します。
「SEEEU(シー・イー・ユー)」は、ヨーロッパから届けられる多様な写真作品を、日本という異なる文化と都市の中で見つめ直す試みです。街の中に放たれ、日常に紛れ込んだ未知のまなざしとの出会い。それは離れた世界の断片であると同時に、私たちの視野に新しい視座をもたらすきっかけとなるでしょう。
このフェスティバルを通じて、地理的な距離は想像力によって軽やかに越えられるものであることを願い、また、この邂逅が異なる文化への理解と交流を生む起点となることを心から期待しています。

 

■フェスティバル・キュレーター キム・ボスケ氏


オランダ・アムステルダムを拠点とするアーティスト・キュレーター。人々が周囲の世界を認識し、構築することにおいての密かな複雑さに興味を持ち、時間と自然を視覚的に考察する作品を通して模索する。
ヨーロッパの写真プラットフォーム「FUTURES」のレジデンシープログラムの発起人として、2023年よりコーディネートを担当。
また、ビジュアルアーティストとしては、ブルックリン美術館(ニューヨーク)、アトリエ・ネーデルランデ(パリ)、フォーム写真美術館(アムステルダム)、ネーデルランズ写真美術館(ロッテルダム)、モーツァルテウム国際財団モーツァルトの家(オーストリア)、またルーアン植物園と共同でルーアン写真センター(フランス)など、数々の機関で作品を発表している。

 

【開催に向けたメッセージ】
私が「SEEEU(シー・イー・ユー)」への参画に興味を抱くのは、「緩やかで、注意深い実践」の力を信じているからです。これは、曖昧さ、考察、そして多様性を許容する芸術的アプローチを指します。キュレーションと自身の芸術活動の両方において、私は一度に全てを明らかにするのではなく、時間をかけて複雑さを徐々に紐解いていくプロセスに惹かれます。そこでは、「見る」という行為が、時間、記憶、動きによって幾重にも積み重ねられ、かたちづくられています。
物語がますます断片化・編集・媒介される時代において、「SEEEU(シー・イー・ユー)」は、言語であり風景である「写真」というメディアを通して、私たちが世界や互いと結ぶ関係性を立ち止まって再考する機会を提供します。特定の声明を示すのではなく、視覚的な物語を通して、私たちにとっての既知の事実を問い直し、新たなつながりによって再構築する場を開くのです。

 

■アーティスト公募(締切:2025年7月20日)
「SEEEU(シー・イー・ユー)ヨーロッパ写真月間 2025」では、出展アーティストの一部を公募により選出する。選ばれたアーティストには、作品展示はもちろん、日本への渡航支援を含む様々なサポートを提供する。さらに、優れた作品にはBest Series Award(最優秀シリーズ賞)が授与される。受賞者は、フェスティバルのキュレーターおよびパートナー団体による選考のもと決定され、オープニングセレモニーにて発表される。
 
▼公募スケジュール
応募締切:2025年7月20日(23:59)※中央ヨーロッパ時間 審査発表:2025年8月上旬予定 展示会場発表:2025年9月予定
 

  • ■開催概要
    会期:2025年10月23日(木)〜11月23日(日)
    会場:東京都内各所の公共空間
    入場料:無料
  • 主催:KOI NIPPON / KOI [Kultūrinės ir organizacinės idėjos]
    助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】、欧州連合
    メディアパートナー:IMA、The Darkroom Rumour、L'Oeil de la Photographie、Lula Japan
    公式ウェブサイト:https://www.seeeu.jp/
    公式SNS:
    X https://x.com/seeeu_jp
    Instagram https://www.instagram.com/seeeu_jp/
    Facebook https://www.facebook.com/seeeu.jp/

 
【関連リンク】
https://www.seeeu.jp/ja

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