ソニーから、映像制作を本格的に目指すクリエイターに向けたフルサイズイメージセンサー搭載Cinema Lineカメラ「FX2」が2025年8月1日に発売する。メーカー希望小売価格は416,900円(税込)。
Cinema Lineのルックと操作性を備えた本カメラは、15+ストップのワイドラチチュードによる階調豊かな映像記録で、編集自由度の高い映像表現が可能。FXシリーズ初となる「AIプロセッシングユニット」搭載により、「リアルタイム認識AF」や「リアルタイムトラッキング」の性能が向上したほか、小型軽量のデザインで手持ちやジンバル撮影に適し、高い機動性を有する。また、チルト式のEVF(電子ビューファインダー)を搭載し、角度を調整しながらモニタリングできる。さらに、映画制作業界で高く評価されているデジタルシネマカメラ『VENICE』シリーズと同様に、撮影時によく使用される絞りやISO、フレームレートなどの情報を集約した「BIG6(ホーム画面)」のUIを採用している。動画と静止画の切り替えスイッチを備え、Cinema Lineならではの動画撮影性能を有しながら、動画と静止画の撮影モードをシームレスに切り替えることができる。『FX2』は、動画と静止画撮影の両面で機動力が求められる撮影現場や、ポストプロダクションを前提とする本格的な映像作品作りなどを行う制作現場など幅広い環境に対応する。
近年、大規模な映画制作に加え、小規模なショートフィルムや個人のコンテンツ制作においても、シネマティックな映像表現の需要が高まっている。また、発信する環境の多様化によって、従来の横型(16:9)だけでなく、SNS向けの縦型(9:16)の映像制作に取り組むクリエイターも増えている。本カメラは、映像制作を本格的に始めたい方や、新たにシネマティックな映像表現に取り組んでみたいと考えているクリエイターに適した一台だ。ソニーは、本カメラの発売でCinema Lineシリーズの商品群を拡充し、映像制作に携わるより多くのクリエイターの映像制作活動の可能性を広げていく。
- ■Cinema Lineとは
Cinema Lineとは、映画制作で培われたルックと、多様なクリエイターの異なる要望に応える高い操作性・信頼性を兼ね備えた映像制作用カメラの総称となる。フィルムのような豊かな映像表現を実現するとともに、本体デザイン、耐久性、高い機能拡張性、バッテリーライフなど、快適な映像制作をサポートできるように操作性・信頼性にも配慮している。同商品群には、映画制作業界で高く評価されているデジタルシネマカメラ『VENICE』および『VENICE 2』や、フルサイズイメージセンサー搭載の『FX6』、『FX3』、『FX30』が含まれる。ソニーはCinema Lineを、幅広い映像クリエイターに向けて提案していく。
- ■主な特長
1. シネマルックを実現する優れた動画撮影性能
▼フルサイズセンサーによる印象的な映像表現と高感度・低ノイズ性能
有効約3300万画素のフルサイズセンサーを搭載し、被写界深度が浅く印象的でシネマルックな映像表現を可能にする。S-Log3での撮影時は15+ストップのワイドラチチュードで、明暗差のあるシーンでも階調豊かに記録できる。
ISO800とISO4000の2つのベースISO感度を持ち、明るい場面と暗い場面で2種類の基準感度を使い分けることができる、独自のデュアル・ベースISO機能を搭載している。暗所での撮影においても、ノイズの少ないクリアな映像を記録できる。また、4:2:2 10bit記録が可能で、豊かな階調を生かした映像編集が可能となる。
▼多彩な映像表現に対応する3つのLog撮影モードとS-Cinetone
S-Log3ガンマカーブ用の撮影モードとして、最大のダイナミックレンジでノイズを抑えたクリアな映像表現が可能な「Cine EI」、選択したExposure Index(EI)に連動してカメラが自動的にベースISOを切り換える「Cine EI Quick」、幅広い環境で撮影可能な「Flexible ISO」の3つのモードを選択できる。すべてのLog動画撮影モードにおいて、最大16種類のLUTを当てた映像をカメラモニターに表示することができ、ポストプロダクション後の仕上がりをイメージしながらの撮影が可能。
また、多くのクリエイターから支持を得るCinema Line共通のピクチャープロファイルS-Cinetone™(エスシネトーン)を搭載。S-Cinetoneは、デジタルシネマカメラ『VENICE』の開発を通じて得た知見をもとにした画作りで、Cinema Lineの『FX9』や『FX6』、『FX3』、『FX30』にも搭載している。人肌を描写する際に使われる中間色の表現力を高めることで、よりソフトな色合いと、被写体を美しく際立たせる自然なハイライトを実現する。
2. 快適なソロ撮影をサポートする最新の技術と高い機動性
▼AIによる最新のAF性能とフォーカスアシスト機能
FXシリーズとして初となるAIプロセッシングユニットを搭載している。本機能は、ディープラーニングを含むAI処理で、人物の骨格や姿勢などの詳細に基づいた人物認識に加え、動物や昆虫、乗り物など、人物以外の被写体を認識することができる。これにより、被写体の形状や動きを高精度に認識し、瞳だけではなく人間の胴体、頭部の位置をより高精度に認識できるリアルタイム認識AFや、カメラまかせで被写体の自動追尾ができるリアルタイムトラッキングの性能が向上しており、様々なシーンでの多彩な映像表現に対応する。
また、手ブレ補正アクティブモードおよびダイナミックアクティブモードを搭載し、手持ちでの撮影を強力にサポートする。
▼手持ちやジンバル撮影に適した小型軽量のデザイン
高さ約77.8mm × 幅約129.7mm × 奥行約103.7mm、重さ約679gと小型・軽量なボディで、撮影者1人での長時間の撮影を可能にする。Cinema Lineの『FX3』『FX30』同様に、ボディにアクセサリー取付用ネジ穴(1/4-20 UNC)があり、ケージがない状況でもさまざまな周辺機器を直接装着できるため、セッティングの時間を短縮できるほか、カメラや周辺機器をコンパクトに扱える。本カメラは別売りのXLRハンドルを使用することで、ローポジションやローアングルからの撮影でも、快適で安定したカメラワークが可能になる。さらに、同じく別売りのXLRマイクとの組み合わせで、音声をデジタル信号のままカメラに伝送し、ノイズを徹底的に抑制した高音質録音を実現する。
▼動画・静止画撮影のシームレスな連携
映像制作用カメラでありながら、有効約3300万画素での静止画撮影が可能で、高精細な表現を実現できるほか、5段の手ブレ補正機能、10コマ/秒の連写機能にも対応している。ショットマーク機能を活用することで、撮影中の動画からLUTを当てた状態でフレームを切り出し、静止画として保存することができる。
さらに、S-Log3のガンマカーブを適用したJPEG、HEIFでの静止画Log撮影や、ポストプロダクション編集において、LUTを適用することが可能。これにより、本カメラ一台での映像撮影はもちろん、撮影準備のロケーションハンティングや作品の宣伝、メイキングの静止画撮影などの幅広い用途に活用できる。
3. シネマカメラならではの操作性・拡張性・信頼性・堅牢性
▼本格シネマカメラの操作性
上90度まで調節可能なチルト式のEVF(電子ビューファインダー)を搭載し、撮影スタイルに応じてファインダーの角度を変えられるので、ウエスト位置にホールドしながらの撮影も行える。さらに、デジタルシネマカメラ『VENICE』シリーズと同様のUIである「BIG6(ホーム画面)」を採用し、頻度高く使用される絞りやISO、フレームレートなどの情報を集約し、タッチ操作で素早い確認・変更を可能にしている。操作部分がボディの天面に集約されているため、撮影に集中しながらスムーズに設定変更を行える。また、画面に表示される撮影情報のレイアウトを、縦横どちらの向きにも対応した。カメラの向きに合わせて表示が自動的に切り替わることで、さまざまなシチュエーションでもスムーズな撮影が可能。
また、CFexpress Type AとSDカード対応のスロット1基とSDカード対応のスロット1基の計2基を備えている。加えて、5GHz Wi-FiやUSB Type-C™ Superspeed 10Gbpsに対応。これにより、データ転送にかかる時間を短縮し、撮影ワークフローを効率化する。また、冷却ファンと放熱に配慮した構造を採用することで、長時間の4K 60p記録を実現した。
4. 環境・アクセシビリティに配慮した設計
ソニーはクリエイティビティとテクノロジーを駆使し、2050年に「環境負荷ゼロ」を実現するため、環境計画「Road to Zero」を推進している。本カメラを含むイメージング商品群の生産拠点では、100%再生可能エネルギーで稼働している。また本カメラの個装箱には再生紙を採用したほか、商品などを包む袋に植物由来の不織布や紙製の袋を用いて、梱包時に使用されるプラスチックを削減している。
アクセシビリティにも配慮し、メニューと動画再生画面を音声で読み上げて操作をアシストする「音声読み上げ」機能や、メニューの「拡大表示機能」を搭載し、多様なクリエイターの制作活動をサポートする。
- ■仕様
マウント形式:レンズ交換式デジタルカメラ、Eマウント
撮像素子:35mmフルサイズ(35.9 x 23.9 mm)、Exmor R CMOSセンサー
カメラ有効画素数:静止画時:最大約3300万画素、動画時:最大約2760万画素
総画素数:約3410万画素
AF方式:ファストハイブリッドAF(位相差検出方式 / コントラスト検出方式)
その他フォーカス機能:AF被写体追従感度(静止画)、AF乗り移り感度(動画)、AFトランジション速度(動画)、縦横フォーカスエリア切換、フォーカスエリア登録機能、フォーカス位置の循環、フォーカスマップ(動画)、AFアシスト(動画)
測光範囲:EV-3 - EV20(ISO100相当、F2.0レンズ使用)
ヘッドホン端子:3.5 mmステレオミニジャック
手ブレ補正:イメージセンサーシフト方式5軸補正(補正方式はレンズ仕様による)
モード:静止画: 入 / 切、動画:ダイナミックアクティブ / アクティブ / スタンダード / 切
補正効果(静止画撮影時):中央5.0段 周辺5.0段(CIPA2024規格準拠、ピッチ/ヨー/ロール方向、FE 50mm F1.2 GM装着時、長秒時ノイズリダクションオフ時)
レンズ補正:周辺光量、倍率色収差、歪曲収差、ブリージング(動画)
■製品情報
Cinema Lineカメラ「FX2」
発売日=2025年8月1日
メーカー希望小売価格=416,900円(税込)
【関連リンク】
https://www.sony.jp/pro-cam/products/ILME-FX2B/
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