楢橋朝子「Drifting but Never Sinking 02」©Asako Narahashi
東京銀座のIG Photo Galleryで楢橋朝子「Drifting but Never Sinking 02」が開催される。
IG Photo Galleryでの楢橋朝子展は、2021年5月以来2度目となり、前回の個展「ただよえど沈まず」に続き、水中から陸地をのぞむ写真シリーズを展示する。なお、この展示から同シリーズは、前回英題として使用した「Drifting but never sinking」を本題としている。今回の展示はその第二弾という位置づけになる。
楢橋の作品の系譜としては、「Drifting but never sinking」は写真集としても発表されている「half awake and half asleep in the water」を継ぐものだ。「half awake and half asleep in the water」ではフィルムカメラを使用し、「Drifting but never sinking」はデジタルカメラを使っているため、別シリーズとなっている。
今回展示する作品は2019年以降に撮影されたものから選ばれ、作品には撮影年と地名の頭文字を組み合わせたキャプションが付されている。「Drifting but never sinking」シリーズの驚きは、「ここではないどこか」が、私たちが見慣れた海や川から見た世界にあることだ。
水の動きに身体を揺らしながら撮影した写真は、私たちに水中での経験を思い起こさせる。たとえばそれは、自分の意思の通りにならない身体と視覚によって、見慣れた陸地が遠い世界に感じられた経験だ。その時、私たちは二本足で立ち歩く人間の視点から離れ、別の生きものになっているような気がする。海や川で泳ぐことには、遊びや鍛錬といった表面的な理由の奥底に、魚やイルカのような人間以外の動物になってみたいという欲求が潜んでいるのかもしれない。ふだんとは別の視点で見た人間社会を写した作品を楽しみたい。
- ■展覧会情報
楢橋朝子「Drifting but Never Sinking 02」
会期:2025年5月13日(火)~5月31日(土)
時間:11:00~18:30
休廊日:日曜日、月曜日
会場:IG Photo Gallery
住所:東京都中央区銀座3-13-17 辰中ビル3階
■トークセッション(無観客)
楢橋朝子×タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)
20255月17日(土)18:00よりYouTubeライブ配信予定
チャンネル名:IG Photo Gallery
■プロフィール
楢橋朝子(ならはし・あさこ)
1959年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部美術専攻卒業。大学在学中に「フォトセッション」に参加。1989年より個展活動を開始。自主ギャラリー03FOTOSを立ち上げるなど、国内外で個展、グループ展を多数開催。1998年に日本写真協会新人賞、2004年に写真の会賞、2008年に東川賞国内作家賞を受賞。写真集に『NU・E』(蒼穹舎、1997)、『フニクリフニクラ』(蒼穹舎、2003)、『half awake and half asleep in the water』(Nazraeli Press、2007)、『Ever After』(オシリス、2013)、『ギプス』(オシリス、2018)、『春は曙』(オシリス、2023)ほか。東京在住。
【関連リンク】
https://www.igpg.jp/exhibition/narahashi25.html
出展者 | 楢橋朝子 |
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会期 | 2025年5月13日(火)~5月31日(土) |
会場名 | IG Photo Gallery |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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