top 本と展示展覧会ピックアップ大阪のgallery 176で鄭名植「明鏡止水 / CLEAR MIND AS STILL WATER」が開催

大阪のgallery 176で鄭名植「明鏡止水 / CLEAR MIND AS STILL WATER」が開催

2025/01/13

鄭名植「明鏡止水 / CLEAR MIND AS STILL WATER」©MYOUNGSIK JEOUNG

 

大阪のgallery 176で鄭名植「明鏡止水 / CLEAR MIND AS STILL WATER」が開催される。
 
今回の展示は、生と死、混沌と静寂、そして日常と永遠を探求する旅である。僧侶の葬儀の儀式である荼毘式と仏教的な修行の瞬間を収めた「明鏡止水」は、清らかで揺るぎない心の状態を象徴し、すなわち慶尚北道の聞慶市(ムンギョン)の鳳岩寺(ボンアムサ)の方丈である寂明和尚が生涯に貫き追求した修行の核心でもある。
 
和尚は「湖の波浪が静まってこそ、その中にある石一つまできれいに見える」と話された。心の静けさこそが真の知恵を見つける鍵であるというその教えは、私の仕事の大事な哲学的指針となった。私は2011年から国家遺産庁(文化庁)で宮大工として勤めて、伝統的な建築物の保存とその歴史を記録している。この宮殿の仕事は、過去にお寺を造り、保存した経験から連なっている。宮大工としてお寺の伝統建築を扱う中で感じた静寂と畏敬の念いは、現在の写真作業に繋がっている。
 
「昌徳宮06:20 AM」は、2011年5月から昌徳宮(チャンドックン)で毎日同じ時間、同じ場所、同じ構図で撮影した写真だ。繰り返す日々の中でも変化と永遠を記録しようとした。昌徳宮は季節と時間によって、冬の星明かり、春と夏の夜明け、秋の暖かい光など、毎瞬間異なる顔を見せる。今まで13年6ヶ月間、出勤する毎日、撮影を続けてきた。今回の展示のメイン写真「06:20 AM for 595 days」は、そのうちの3年間分の写真を集めて作り上げた作品で、繰り返し続く日常の中から発見できる特別な瞬間を象徴している。また、「明鏡止水」は、荼毘式の静寂の瞬間と揺れ行く人間の姿を通じ、生と死、混乱と静寂を対比させ、観覧者に各々の内面からの深い余韻と思惟を呼び起こすことを期待している。
 
週末にお寺を訪れ写真を撮る時間は、内側の静けさを取り戻し、人生の本質に向き合う大切な瞬間だ。修行者らの儀式や荼毘式、そして僧侶の肖像は、生と死の境界で我々が進むべき方向を示唆している。
 
宮殿での職業的な日常とお寺での撮影は、異なる空間に見えるが、私にとっては同じ脈絡で結ばれる作業である。宮殿の復元作業は伝統建築の美しさと時間の流れを悟らせ、お寺での撮影はその中で内面の静けさを発見させる。反復の中で見つかる変化と静寂の中で出逢う真実が、今回の展示を通して観覧者の方々に伝わりますように。幾つもの人生の瞬間が集り歴史となり、その歴史は再び私たちの人生を映す鏡となる。
 

  • ■展覧会情報
    鄭名植「明鏡止水 / CLEAR MIND AS STILL WATER」
    会期:2025年2月7日(金)~2月18日(火)
    時間:13:00〜19:00
    休廊日:2月12日(水)、13日(木)
    会場:gallery 176
    住所:大阪府豊中市服部元町1-6-1

 

■トークイベント
開催日時:2025年2月8日(土)17:30〜19:00

出席者:鄭名植(ジョン・ミョンシク/展示作家)、姜在求(カン・ジェグ/YARTGALLERY オーナー)、姜美善(カン・ミソン/通訳)
参加費:無料
定員:15名(申込不要)

※トーク終了後、オープニングパーティー開催予定
 
■プロフィール
鄭名植(ジョン・ミョンシク / MYOUNGSIK JEOUNG)
国家遺産(文化財)と無形の伝統文化を視覚的に探求する宮大工・写真家。
ユネスコ無形文化遺産に登録された宮大工の技術を受け継ぎ、ソウルに位置する「4大宮殿」と「宗廟」、「朝鮮王陵」の建築物の補修と復元作業を20年以上行ってきた。この過程で積み重ねてきた経験を基に制作された写真は、伝統と現代との対話を通じて、遺産は依然にも生き続けて過去の価値が歴史的継承を通して未来につながることを表す。
2007年から韓国をはじめ海外にて多数の写真展を開催し、作品を発表。現在は韓国のドキュメンタリー及び純粋芸術写真家たちを支援する「Naverドキュメンタリーイメージアーカイブ」の指定作家としても活動している。
 
【関連リンク】
https://176.photos/exhibitions/250207/

展覧会概要

出展者 鄭名植
会期 2025年2月7日(金)~2月18日(火)
会場名 gallery176

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する