丹野 章「初期作品『サーカス』『地底のヒーローたち』より」©︎丹野多可志
大阪のThe Third Gallery Ayaで丹野 章「初期作品『サーカス』『地底のヒーローたち』より」を開催する。
1925年生まれの丹野は、戦後日本の写真表現を象徴する写真エージェンシー「VIVO」のメンバーとして知られる写真家だ。
The Third Gallery Ayaは長らく歴史に埋もれてきた岡上淑子、今井壽惠の作品を取り扱う中で、1960年代までの日本の戦後の写真界の状況を再考してきた。丹野章を同世代の写真家として捉え直し、今回は1950年代の代表作として「サーカス」、60年代の代表作として「地底のヒーローたち」を紹介する。
丹野章(1925-2015)の「サーカス」は、1957年、写真評論家の福島辰夫の呼びかけで行われた「10人の眼」(銀座松屋・東京)展に出品された。海外から来日した音楽家やバレリーナなどの写真で注目され、ステージフォトでは既に高い評価を得ていた丹野であるが、日本のサーカスを撮影した写真群は土着的であると同時に、どこか西洋を感じさせるテーマでもあった。ちなみに同展には細江英公、東松照明、奈良原一高、川田喜久治など、後に写真家たちによるセルフ・エージェンシー「VIVO」(1959)の設立に参画したメンバーたちが集合しており、戦後派の写真表現がここで立ち上がってくるのである。一方で、1960年代半ばに開始され、のちに「地底のヒーローたち」としてまとめられた長崎県高島炭鉱の労働者を撮影した作品群は、過酷な労働のなかで奮闘する人々の姿に照準したものである。サーカスであれ、炭鉱であれ、丹野の写真は、人々の生活を人生という舞台装置のなかで見る眼差しにおいて共通する。1972年には土門拳らのリアリズム写真運動の流れを汲むリアリズム写真集団の事務局長に就任、1976年からは公募展「視点」を創設し、後進の指導にあたる。また、日本写真家協会の著作権委員長として1970年の新著作権法成立などに寄与した。
戸田昌子(写真史家)
大阪での個展は今回が初めてとなる。ヴィンテージプリントを中心に初期の作品群が見られる貴重な機会となる。
- ■展覧会情報
丹野 章「初期作品『サーカス』『地底のヒーローたち』より」
会期:2024年8月31日(土)〜9月28日(土)
時間:12:00〜19:00(土曜は17:00まで/火曜はアポイントメント限定)- 休廊日:日曜日、月曜日
会場:The Third Gallery Aya
住所:大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F・4F- ※展覧会は4Fで開催
- ■トークイベント
参加者:戸田昌子(写真史家)
日時:2024年9月7日(土)18:00〜19:30
参加費:1,000円
会場:The Third Gallery Aya + YouTube配信(後日視聴可能)
申込先:info@thethirdgalleryaya.com、06-6445-3557
※申し込み後に詳細を案内
※ギャラリーを会場に配信
■プロフィール
丹野 章(たんの・あきら)
1925年 東京生まれ
1947年 金鈴社写真工房に勤務(1951年まで)
1949年 日本大学芸術学部写真科卒業
1959年 川田喜久治、佐藤明、東松照明、奈良原一高、細江英公と共に写真家によるセルフ・エージェンシー「VIVO」を結成(1961年解散)
1976年 公募展「視点」を創設。選考委員に就任。
2015年 逝去
▼主な個展
1959年 「二人のバレリーナーマーゴ・フォンテーンとジャニーヌ・シャラ」月光ギャラリー、東京
1975年 「壬生狂言」キャノンサロン、東京、名古屋 壬生寺、京都
2009年 「丹野章の戦後」キャノンギャラリーS、東京
2013年 「地底のヒーローたちー長崎県高島炭鉱」キャノンギャラリー、東京、札幌、福岡
2015年 「昭和曲馬団」禅フォトギャラリー、東京
▼主なグループ展
1952-54年 「青年フォト展」松島ギャラリー、東京
1957年 第一回「10人の眼」小西六フォトギャラリー、東京
1962年 「”NON”写真展」銀座松屋、東京
1978年 「VIVO」サンタバーバラ美術館、アメリカ
1991年 「日本写真の転換ー1960年代の表現」東京都写真美術館
▼出版
1958年 「ボリショイ劇場」音楽之友社
1992年 「壬生狂言-丹野章写真集」光陽出版社
1995年 「日本で演じた世界のバレエ」イメージハウス、音楽之友社
2009年 「撮る自由」本の泉社
2015年 「昭和曲馬団」禅フォトギャラリー
▼作品収蔵
東京都写真美術館、山口県立美術館、日大芸術学部、東京工芸大学ほか
【関連リンク】
https://thethirdgalleryaya.com
出展者 | 丹野 章 |
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会期 | 2024年8月31日(土)〜9月28日(土) |
会場名 | The Third Gallery Aya |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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