2024年「日本写真協会賞」受賞者が決定した。
作家賞に公文健太郎、新人賞に遠藤励と夢無子、国際賞に沈昭良、功労賞に川田喜久治と東京工芸大学、学芸賞に寺崎英子写真集刊行委員会(代表:小岩勉)が選ばれた。
日本写真協会賞は毎年6月1日「写真の日」には、「日本写真協会賞」の表彰をおこなっている。日本の写真界や、写真文化に顕著な貢献をした個人や団体に対して贈られる。協会の正会員、並びに協会が委嘱するノミネーター(有識者の方々)によって、受賞者として相応しい候補者を推薦し、その中から当該年度の日本写真協会賞選考会が各賞の受賞者を決定する。国際賞、功労賞、作家賞、学芸賞、新人賞の各賞を設けている。
なお、2024年5月31日より富士フイルムフォトサロン東京にて、受賞作品展も開催される。
- ■2024年 受賞者・受賞理由
作家賞:公文健太郎- 2012年ネパールを題材にした『ゴマの洋品店』で日本写真協会賞新人賞を受賞以降の活躍が目覚ましい。主な写真集は『耕す人』『地が紡ぐ』『暦川』『光の地形』。2022年には香川県の離島「手島」の過疎を題材に 『NEMURUSHIMA-THE SLEEPING ISLAND(眠る島)』を上梓。この間の写真展は18回に及び、エネルギッシュな作品発表活動への評価も高い。その顕著な活躍と今後への期待も込めて。
- 新人賞:遠藤 励
- 写真展・写真集『MIAGGOORTOQ』(ミアゴート)は、極北に生きる自然と人々の記録だ。写真のひとつ一つにメッセージが込められ、時間の重厚さが感じられる。表現者として生態系の輪の中に参加し、人類が抱える地球温暖化という大きなテーマに対して、極限の自然で逞しく生きる人々に向ける眼差しを通して問題を投げかけるその作品に対して。
- 新人賞:夢無子
- 夢無子氏の写真を見ていると、どんな異国の地にいようと彼女の日常が写っていることに気づき、そのことに驚く。異国の人々が、一瞬のうちに夢無子氏と溶け合い、彼らに積年の友であるかのような錯覚を起こさせ、その日常を惜しみなく,見せる。そして夢無子氏は息をするように、水を飲むように、彼らを無邪気に無防備に撮影するのだろう。自由奔放なその作品に対して。
国際賞:沈昭良- 沈昭良氏は、長きに渡り台湾と日本の写真界の大きな橋渡しをしてきた。日本の写真を台湾で展示紹介するだけでなく、近年は中国、香港、カンボジアへと活動を広げている。日々、大学で若い学生に接しながら、また写真家として常にアジア近隣諸国との写真を通じた文化交流に視野を置き、各国の作家一人ひとりに語りかけ、キュレーションする沈氏の写真家を超えた活動に対して。
功労賞:川田喜久治- 最初の写真集『地図 The Map』(1965年)から、Instagramに日々アップロードし続けている膨大な写真群に至るまで、川田喜久治氏は、現実の中に折り畳まれた意味の複数性を、時代を超え、メディアを変え、加工し、掘り出し、みつけだそうとする。写真を通じた、その行為に終わりはないことを指し示す。時代に応じた現実との関わりを探り、物象と抽象が交差する写真の新たな領土を開拓する「地図」を描き続けた功績に対して。
- 功労賞:東京工芸大学
- 東京工芸大学は、小西寫眞専門学校を前身として創立されてから2023年で100周年を迎えた。東京工芸大学一世紀の歴史は、そのまま日本の写真産業と写真文化の歴史100年とも言え、同校がこれまで輩出した歴代の卒業生が日本の写真界・産業界に与えた人的功績は計り知れない。その多大な功績に対して。
学芸賞:寺崎英子写真集刊行委員会(代表:小岩勉)- 写真集『細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム』は、かつて宮城県栗原市細倉に暮らした無名の”写真家”寺崎英子氏が脊椎カリエスという病を抱えながら13年間撮影した人々の暮らしと風景の記録である。市井の女性が写真で遺した一時代の記録を発掘、丹念に収集編纂、優れた写真集に結晶させ、広く世に知らしめた功績に対して。
■選考委員
板見浩史(フォトエディター)
今森光彦(写真家)
上田義彦(写真家)
楠本亜紀(評論家/キュレーター)
瀬戸正人(写真家)
■2024年日本写真協会賞受賞作品展
会期:2024年5月31日(金)~6月6日(木)
会場:富士フイルムフォトサロン東京 スペース1
入館無料
【関連リンク】
http://www.psj.or.jp/psjaward/
http://www.psj.or.jp/psjaward/2024.html
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