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DIC川村記念美術館で「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」が開催

2023/06/09

DIC川村記念美術館で「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」が開催される。
 
ジョセフ・アルバース(1888–1976)は画家、デザイナー、そして美術教師として知られている。ドイツで生まれた彼は、造形学校バウハウスで学び、のちに教師となって基礎教育を担当した。同校の閉鎖後は渡米し、ブラックマウンテン・カレッジや、イェール大学に勤務。戦後アメリカの重要な芸術家たちを育てた。
 
アルバースは授業の目的を、「目を開くこと」だと述べている。彼はただ知識を教えるのではなく、学生に課題を与え、手を動かして考えることを促した。そうして答えを探究することで、色彩や素材のもつ新しい可能性を自ら発見させようとした。
 
そしてアルバース自身もまた、生涯にわたり探究を続けた。そこから生み出されたのが、バウハウス時代のガラス作品から、家具や食器などのデザイン、絵画シリーズ〈正方形讃歌〉に至る、驚くほど多様な作品群だ。
 
本展ではアルバースの作品を、彼の授業をとらえた写真・映像や、学生による作品とともに紹介する。制作者/教師という両側面からアルバースに迫る、日本初の回顧展だ。
 
■見どころ
1.ジョセフ&アニ・アルバース財団の全面的な協力を得て実現する、日本初の回顧展。国内初公開作品を含む絵画や関連資料など、約100点を展観する。
 
2.画家としてのアルバースのみならず、教育者という側面にもスポットライトを当てる。実験的な授業をとらえた写真や映像、学生の作品も紹介する。
 
3.アルバースの出した課題に挑戦できるワークショップ・スペースを会場内に設ける。学生を夢中にさせた彼の授業が体験できる。
 
■展示構成
1章 バウハウス―素材の経済性 (1920–1933)
ドイツのヴァイマールに創設されたバウハウスに、アルバースは当初学生として、のちには教師として、閉校時まで携わる。教師として彼が主に担当したのは、専門教育に先立つ、造形のための基礎演習だった。現在ではとりわけ色彩への取り組みで知られるアルバースだが、授業で一貫して重視したのは、素材の性質を把握し、効率よく扱う方法を習得することだった。バウハウスではガラス画工房や家具工房でも教え、家具、食器などのデザインを手掛けるほか、ガラス作品も制作した。
 
2章 ブラックマウンテン・カレッジ―芸術と生 (1933–1949
バウハウスが閉校してまもなく、アルバースは創立されたばかりの学校、ブラックマウンテン・カレッジから招聘を受け、妻のアニとともにアメリカに移住する。リベラルアーツ教育を目指した同校では、芸術がカリキュラムの中心に位置づけられていた。この新しい環境で、アルバースは自然物を素材として課題に用いるなど、より先進的な課題を授業に取り入れていく。この地で過ごした約15年間は、抽象絵画や版画にも取り組み、後の展開につながる重要な時期となった。
 
3章 イェール大学以後―色彩の探究 (1950–)
1950年、アルバースはイェール大学に着任する。この頃から、彼は色彩への取り組みで知られるようになっていった。彼の色彩課程では、さまざまな色の錯覚を作り出すことが求められ、学生たちは試行錯誤しながら課題と向き合うことで、色彩をより正確に見て、選び出す経験を積んだ。
 
一方、この年から20年以上にわたって続けられた絵画シリーズ〈正方形讃歌〉は、正方形による決まったフォーマットに色彩を配置した作品で、隣接する色同士がさまざまな効果を生み出している。色彩を移ろいやすいものと考え、そのはたらきを動的に捉えようとするアルバースの探究が、ここには反映されているといえるだろう。画家としての彼を一躍有名にしたこのシリーズとともに、主著『色彩の相互作用』(邦題:『配色の設計』)にも使われた学生の作品を展示することで、アルバースの色彩への取り組みを再考する。
 
4章 版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉 (1972)
1972年、アルバースは版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉を出版する。過去に制作した作品を元にした、集大成ともいえるこの版画集から、本展では15点を紹介する。各作品にはアルバース自身のテキストが付されており、それらをイメージと共に読むことで、彼の造形に対する思考や色彩への探求を追体験できるだろう。
 

  • ■展示情報
    「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」
    会期:2023年7月29日(土)~11月5日(日)※会期中に一部展示替えあり
    ・前期:7月29日(土)〜9月18日(月)
    ・後期:9月20日(水)〜11月5日(日)
    時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
    休館日:月曜(ただし9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
  • 会場:DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸631)
  • 入館料:一般1,800円、学生、65歳以上:1,600円、高校生以下:無料
  • 主催:DIC株式会社
    特別協力:ジョセフ&アニ・アルバース財団、東京国立近代美術館
    協力:エヒメ紙工株式会社、グリム・エヒメ株式会社、株式会社竹尾、DICデコール株式会社
    後援:千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会

 

【関連リンク】
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2023/albers/

展覧会概要

出展者 ジョセフ・アルバース
会期 2023年7月29日(土)~11月5日(日)※会期中に一部展示替えあり
会場名 DIC川村記念美術館

※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。

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