エリザベス女王、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ユアン・マクレガー、ビョーク、ハイディ・クルム、デビッド・ボウイ――イギリスの写真家 Rankin(ランキン)がポートレートを捉えた著名人は数知れない。同氏の活躍はポートレートにとどまらず、多岐にわたるジャンルで秀逸な作品を生み出し続けている。
エレガントでいてセクシー、ダイナミックかつクール、クリエイティブでトレンドセッター。その作風により、人気・影響力ともに当代随一の写真家として長年にわたり名を馳せている。そのユニークで魅力的な本質が垣間見える写真展「Zeitsprünge(時への跳躍)」がドイツ・ウェッツラーのエルンスト・ライツ・ミュージアムにて2023年5月26日から9月27日まで開催中だ。
今回の写真展では、ランキンが過去30年に手がけた傑作が一堂に会する。歴史に残るアイコニックなポートレートやセレブリティの写真の数々から、カラフルなビューティーフォトグラフィー、クラシックなファッションフォトグラフィー、そしてコンセプトを深く追求したシリーズ作品まで、1990年代から2000年代にかけての作品および2023年最新の未発表作を加えて展示されている。
ランキンは単なるファッション・ライフスタイル写真家にはとどまらない。それは例えば、雑誌制作に情熱を注いできたことからも明らかだ。
90年代初頭には、ジェファーソン・ハックと共同で『DAZED&CONFUSED』誌を創刊。ファッション、グラフィック、デザイン、写真など多岐にわたるカルチャーを扱いつつ、時代のトレンドを捉えるエッジの効いたコンテンツを世に送り出している。
また、世界中の雑誌でエディトリアルを手がけ、写真家だけでなくデザイナーとしても多忙な日々を送ってきた。ここ数年は映像分野でも辣腕をふるい、テレビ映画の制作にも携わっている。また、錚々たるアーティストの膨大なミュージックビデオの制作も手がけている。
写真家としてはもちろん、映像制作者やパブリシスト、デザイナーとしてランキンがあらゆる世代を楽しませ、そしてインスピレーションを与えてきたことは間違いない。クリエイティブな写真表現の新たな可能性をたゆまず追い続けてきた同氏が多くの撮影で頼りにしてきたのが、喜ばしいことにライカだった。本展では、ランキンが創造する独特の世界へとさらに深く誘う。
本展の開催と同時に、雑誌『HUNGER』の最新号が“Timeslice”をメインテーマに2023年5月24日に発売された。同誌の編集長を務めるランキンの過去から現在の優れた作品を紹介する内容となっており、リサ・ヴィカリやシビル・バックのポートレートなどが掲載されるなどコレクターズエディションとなるような特別号だ。また、掲載作品は写真展でも展示される予定。
【プロフィール】
Rankin(本名・ジョン・ランキン・ワデル)
1966年4月28日にスコットランドで生まれ。早くからアートに傾倒はしていたものの、最初に学んだのは経営管理学だった。その後、イギリス・ルートンにあるバーンフィールド大学では技術学士コースで、続いてロンドン・カレッジ・オブ・プリンティング(当時)では芸術学士コースで学び、写真の世界に進んでいくことになる。1991年にはジェファーソン・ハックと雑誌『DAZED&CONFUSED』を共同で創刊し、1999年にはDazed Film & TVを共同で設立。2000年12月には自身初となるファッション雑誌『Rank』を創刊。2011年には『HUNGER』誌を創刊、同誌は現在も発行されている。有名ブランドの広告キャンペーンも多数手がけ、さまざまなプロジェクトにも無償で携わっている。ドイツでは2009年に「ジャーマンズ・ネクスト・トップ・モデル」というTV番組に登場。同番組には2020年のシーズン以来ゲスト審査員として何度か参加している。写真集も多数出版しているほか、写真展も世界各地で開催されている。現在は妻であるフィンランド人モデルのトゥーリ・シップスターとロンドンで暮らしている。
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