増田ぴろよ「背守り」が神保町画廊で開催される。
本展の表題でもある「背守り」とは、子どもの着物の背中に施された魔除けのお守りのこと。現代以上に、子どもが命を落とすことが多かった時代に、子の健やかな成長を願って施された。子を想う母の愛情と言い換えても差し支えないであろう背守りを、自らの手で施し、訪れた人に手渡していく。そこには、かつて愛を呪いとして受け取る娘でしかなかった増田の姿はない。
本展では13点の背守りのほか、百徳の着物が展示される。百徳もまた、子に健康に育ってほしいという母の一念から、長寿の知人や徳のある年寄りの家からもらいうけた端裂(はぎれ)を、祈りをこめて接ぎ合わせてつくられた着物。
2023年2月に新宿二丁目の「Artbar星男」にて行われたワークショップ「新宿の百徳」には、新宿にまつわる端裂が富貴寄せられた。これらの縫製を担当したのは、創業100年の仕立て屋「岩本和裁」の4代目であるキサブロー。氏の提案で、集められた端裂は「打掛」と呼ばれる、格式高い婚礼衣装と同じ丸みをおびた袖の形の百徳着物として仕立てられた。正しくはない欲望、煌びやかな夜。さまざまな想いが染み込んだ端裂は、赤とピンクの糸をもって連帯する。
呪いは背中のすき間から入り込んでくるという。
大人になることが今よりずっと難しかった昔むかし。子供の着物のうしろには魔除けの背守りを縫いつける風習がありました。
令和5年5月の母の日月間、キルトと刺繍でつくられた近代の背守りアップリケはやわらかな子どもの心を可愛く守ります。
■展示情報
増田ぴろよ「背守り」
会期:2023年5月19日(金)〜28日(日)
時間:13:00~19:00・会期中無休
会場:神保町画廊
住所:東京都千代田区神田神保町1-41-7安野ビル1階
電話:03-3295-1160
【関連リンク】
http://jinbochogarou.com
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