禅フォトギャラリーで西村多美子写真展「あれから」を開催する。
本展は2018年の「旅人」、2020年の「続旅人」に連なる三部作の最終章となる。西村が1990年代から直近の2022年に撮り下ろした新作を含め、国内外を旅した際に撮り続けてきたスナップショットを中心に、1970年代初期のシリーズ「しきしま」「憧景」よりセレクトした代表作を加えた展示構成となる。
西村は写真を撮り始めた1968年頃から、世界的にデジタルが主流となった現在に至るまで、半世紀を超える作家活動歴の間、一貫してフィルムで撮影し、自ら暗室でプリントを制作するという姿勢を変えていない。本展では手焼きのオリジナルプリント25点を展示する。
今回の展覧会に合わせ、禅フォトギャラリーより『旅人』三部作の最終篇として『あれから(My Journey III. 1993-2022)』を刊行する(700部限定、6,600円税込)。
写真学校の学生だった1968年頃から、興味のある事や人や物を自分の好きなように写真に撮ってきた。それは心地良い体験だった。
1968年に唐十郎率いる劇団状況劇場の舞台写真を撮った。最初の撮影の時に、結界を易々と越えてしまう役者たちに、漫然とシャッターを切っても何も写らないことを知らされた。私は凝視して、凝視して、レンズを突き抜けて、役者にぶつかって行くほどの勢いで撮るしかなかった。二年間、可能な限りすべての公演を撮影した。この時の写真は『実存』というタイトルで2011年に出版された。
好きな写真家はジョセフ・クーデルカだ。初めてジプシーの写真を見た時、まず真摯なものの見方に感動した、というより衝撃を受けた。自分が被写体と向き合った時の理想の姿を見た気がしたのだ。
2011年、チェコへ行った。クーデルカは1968年8月プラハで、ソビエト連邦主導によるワルシャワ条約機構軍の軍事介入を撮影している。『プラハ侵攻 1968』で有名な写真、手前に腕時計、突き当りに国立博物館が見えるヴァーツラフ広場で、写真を撮ってみたいと思った。結局、私の撮った写真は腕時計の代わりに、女の背中になってしまったのだが。[......]
劇団状況劇場から始まり、秀でた個性ある人々と出会い、そして旅に出て写真を撮ってきた。今はまだ、自分が旅の途上に佇んでいる気がする。
—— 西村多美子『あれから(My Journey III. 1993-2022)』あとがきより抜粋
■展示概要
西村多美子 写真展「あれから」
会期:2022年11月4日(金) 〜11月26日(土)
12:00〜19:00(休廊=日曜・月曜・祝祭日)
会場:禅フォトギャラリー
〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル208号室
■イベント情報
11月19日(土)16:00〜 スライド上映に続けて 対談イベントを開催
参加費:1000円・予約制( info@zen-foto.jp まで)
(1)スライド上映会:「旅人 1968-2021」(無音声・20分)
(2) 対談:西村多美子 × 村上仁一(雑誌『写真』編集人・写真家)
モデレーター:アマンダ・ロ(企画コーディネーター)
【写真家プロフィール】
西村多美子(にしむら・たみこ)
1948年東京生まれ。1969年東京写真専門学院(現東京ビジュアルアーツ)卒業。
主な出版物に『しきしま』(東京写真専門学院出版局、1973年)、『熱い風』(蒼穹舎、2005年)、『実存1968-69状況劇場』(グラフィカ編集室、2011)、『憧景』(グラフィカ編集室、2012年)、『しきしま 復刻新装版』(禅フォトギャラリー、2014年)『猫が・・・』(禅フォトギャラリー、2015年)、『舞人木花咲耶姫 — 子連れ旅日記』(禅フォトギャラリー、2016年)、『旅人』(禅フォトギャラリー、2018年)、『旅記』(禅フォトギャラリー、2019年)、『続 (My Journey II. 1968-1989)』(禅フォトギャラリー、2020年)等。香港M+美術館に作品が収蔵されている。
【関連リンク】
https://zen-foto.jp/jp
https://zen-foto.jp/jp/exhibition/tamiko-nishimura-my-journey-since-then
出展者 | 西村多美子 |
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会期 | 2022年11月4日(金) 〜11月26日(土) |
会場名 | 禅フォトギャラリー |
※会期は変更や開催中止になる場合があります。各ギャラリーのWEBサイト等で最新の状況をご確認のうえ、お出かけください。
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