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本日のマイカメラ

第31話 ロモマチック110

2024/04/09
柊サナカ

Lomomatic 110 Film Camera Golden Gate。パッケージも可愛い。

 

このご時世に、フィルムカメラの新製品が発売される……! というだけで嬉しくなってしまいます。CP+でロモグラフィーが公開、話題となったロモマチック110、いち早く試したくなって購入しました。(ロモグラフィーはこちら→ https://shop.lomography.com/jp/lomomatic-110-glass-lens-camera-flash-color-edition
 

今まで110カメラは結構手に取ってきたものの、やはり作られた時代が古いせいもあり、内部も電子部品だったりするので、修理不能となってしまったものも多くあります(手持ちでは、ローライE110やミノックス110Sなどがそうです)。そこへ110カメラの新製品が出たとなると、飛びつかざるを得ません。

 

パッケージ外観。

 

付属の写真集も見どころがいっぱい。 

 

ロモグラフィーと言えば、今も110フィルムを作り続けている、フィルム派にとってはとてもありがたい会社です。ロモグラフィーがあるから110カメラを楽しめる、といっても過言ではないはず。
 

110フィルムの何がいいというと、お値段が控えめなところ。24枚撮りのカラーフィルムが一本、「2021 LomoChrome Metropolis 110 iso 1100-400」が1080円(2024年現在)です。他の種類もそのあたりの価格となっております。35mmカラーフィルムが高騰している今、この価格帯はありがたいですよね。
 

現時点でカラーが6種類、モノクロも一種類あるという豊富なラインナップもいい。種類で言うとわたしの一押しは、ロモクロームメトロポリスです。このフィルムの雰囲気が好きで、110フィルムだけでなく、35mmフィルムもブローニーも使い続けています。

(ロモグラフィー110フィルムはこちら→https://shop.lomography.com/jp/film/110-film

 

内容物いろいろ。

 

内箱、昔の110カメラを買ったことがある人には懐かしくなると思います。 

 

さて、新発売のロモマチック110には種類がありまして、フラッシュありの「Lomomatic 110 Film Camera & Flash Metal」と、フラッシュ無しの「Lomomatic 110 Film Camera Golden Gate」の二種類。わたしはフィルムカメラでは、フラッシュをまったく使わないので、フラッシュ無しのゴールデンゲートの方にしました。

 

やってきましたロモマチック110、パッケージも可愛いです。持ってみたところ軽い! デザインも往年の110カメラを思わせるスライド式です。このストラップ、ミノックスみたいでちょっと懐かしくないですか。デザインも色使いもポップで好きです。ロモ蔵くんもちゃんと正面にいるし。

 

手乗りサイズの可愛いカメラ、ロモマチック110。

 

ストラップもレトロでいいですね。こだわりを感じます。 

 

これだけ軽くてコンパクトなら、ポケットにも余裕で入ります。フラッシュのあるタイプは、メタルということなので、ちょっと重さが違うかも知れませんが、荷物に増えてもなんら負担のない重さです。スライド式なので、キャップなども要らないのがいい。

 

110カメラのいいところは、とりあえず入れて閉めればOKという、フィルム装填が簡単で確実なところです。わたしは何度もカメラのフィルム装填で失敗してきました。ライカM4を鼻息荒く旅行に持って行き、一生懸命、無を写してきてしまったことも。フィルムの失敗がないというのはそれだけでありがたい。

 

110はフィルムも小さいです。 

 

フィルム装填は入れるのみ。細かいコツやチェックポイントは特にいらないと思います。閉めたらOK。

 

ロモマチック110は、ゾーンフォーカスでピント合わせをします。前面につまみがあって、刻みは、0.8、1.5、3、無限と四段階です。
 

ただ押して写るだけのカメラって、最初はいいんですが、使っているうちに、なんだか飽きてきちゃいませんか? こんな風に自分で距離を選べると、ここはわざと全体をぼかしてみたいなとか、手だけにピントを合わそうとか、いろいろ自分なりの表現を求めて遊べるので楽しいですよね。絞りだってF2.8(夜)、F5.6(昼)と二段階あります。底面のレバーにより、多重露光だってできるのです。シャッタースピードは自動なので、気になったものがあれば、さっと取り出してすぐ写せます。

 

ピント合わせのレバー。距離に合わせて動かします。

 

四角いのがシャッター。切れているかは少しわかりにくいですが、しっかり押すことでミスは防げると思います。表示はランプがつくのでわかりやすい。

 

シャッターボタンは小さい四角。このシャッターボタンは、切れたというショックがほとんどないものですから、(静かすぎない……?)と、最初、不安になりました。シャッターを切って、カメラを左右から縮める→またスライドして開ける、でフィルムが送られます。送られたフィルムは背面から数字が見えるようになっているので、わかりやすくていい。

 

フィルムカメラ、楽しいよ! と声を大にして言いたいのですが、フィルムも高いので、(でも今フィルムは1600円とか2000円くらいするよ……)と後の方は小声になっていました。このロモマチック110なら、ゴールデンゲートが1万円台、110フィルムも1000円前後、手始めにおすすめしやすい価格帯ではありますよね。110フィルムの現像はどうしているかというと、チャンプカメラの郵送現像でお願いしています。

(チャンプカメラ郵送現像はこちら→ https://champcamera.co.jp/service/?id=postorder

詳しくは過去記事、ペンタックスオート110もご参考に→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=3166
 

偶然が重なった一枚。(Lomomatic 110 Film Camera Golden Gate ,2021 LomoChrome Metropolis 110 ISO 100–400)

 

110カメラの特長として、フィルムがとても小さいこともあり、それだけフィルムの粒子の感じも荒くなります。ロモマチック110はガラスレンズ採用、スマホとはひと味違う写りに驚くことでしょう。実際撮ってみると、偶然も加味された写りだなと思います。同じ写真をもう一度撮るのはたぶん無理そう。でもそこがいい。ホルガを楽しめる方は、たぶんこのロモマチック110も楽しいはず。

 

わたくし思うに、このロモマチック110は、夜に友達の家で集まってだらだらしていると、一人が突然、海を見に行こう、と言い出す。何の計画もなく車に乗り込んで夜道を走って、途中、パーキングエリアでアイスなど食べ、休憩しながら車はひたすら進む。そのうちにだんだん夜が明けてくる。ポケットにはロモマチック110、この瞬間はなんだか永遠みたいに思えて――友達の顔、アイス、明けていく空を手当たり次第に撮ってみる。そんな感じに似合うカメラじゃないかと個人的には思います。

 

自分の影も、見たことのないようなざらざら感のある描写に。(Lomomatic 110 Film Camera Golden Gate ,2021 LomoChrome Metropolis 110 ISO 100–400)

 

海を見に行こう、と夜に突然言われても、えー、また今度にしよう?(だって徹夜すると一週間くらい調子が悪いし、めまいとかも出るので……寿命を大事に)などという中年は、もしかすると、ロモマチック110が想定するお客ではなかったかもしれません。いえいえ、それでも楽しいロモマチック110、旅にはもってこいの一台です。気になったらぜひコレクションに加えてみてください。

 

あっ、ロモマチック110ご購入の際には、電池購入もお忘れなく! フィルムカメラ好きの家には何個も常備されているCR2電池ですが、なかなか家にないタイプの電池なので……。

 

それでは楽しい110ライフを!

 

歩道橋。なんでもない景色も新鮮に。(Lomomatic 110 Film Camera Golden Gate ,2021 LomoChrome Metropolis 110 ISO 100–400)

 

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